プロローグ
悪役令嬢ものを書いてみたくて始めてみました。
初投稿のため、色々不具合あるかもしれませんが
よろしくお願いします。
鐘の音が響く。
処刑実行を知らせる鐘の音が。
大衆が押し寄せる中、断罪の場に引き出された。
ドレスではなく、囚人のみすぼらしい服。
長く美しいと言われた金色の髪は無残に切り刻まれ、バラバラに散らばっている。
ろくな食事も与えられず痩せた頬。
これが、かつては王太子の婚約者とされたローズマリー・ユベールの最期なんて。
もう涙もとうに枯れてしまった。
ゆっくりと壇上にあがる。
目の前にぶら下がるロープの輪。
左右に立つ男が私を前に進ませ、ロープを首にかける。
小さな段の上に立たされるが、首元を圧迫する縄に恐怖がこみ上げる。
同時に解放されることへの喜びも。
遠目に私を見る元婚約者であるグレイ王子と、現婚約者であるティアの姿。
表情まで見えないが、きっと笑っていることでしょう。
邪魔だからという理由だけで婚約者を罪人にさせ、こうして死刑を眺めるのはどんな気持ち?
真実を知る者は中傷せずに黙って私を見つめている。
付近を見回せば、私に良く仕えてくれていたメイド達の姿もある。
その子達には笑ってみせたつもりだったが、縄が圧迫してうまく顔には出せなかった。
他にも私を罵る輩も多い。
そうね、それも仕方ないわね。私自身、悪の令嬢と影で言われ続けてきていたのだから、仕方もないこと。
敗北した時点で私は悪の令嬢として生涯を終えるのね……
鐘がもう一度鳴り響いた。
ああ、刑が執行される。
男達が離れ、台の下が開かれるための仕掛けに手を置いた。
その時、微かに心を揺さぶる声が私の名を呼んだ。
「姉様!ローズマリー姉様!」
泣き叫ぶ少年の声。
苦しさを無視して叫ぶ声の方向を見た。
「レイナルド……!」
誰よりも愛しい弟の姿を最期に見れるなんて。
枯れた筈の涙が溢れた。
可愛い弟。私の無実を最期まで訴え、最期まで私を信じてくれた可愛い弟。
貴方がこの先幸せでいてくれることが、私の最後の願い。
鐘が響く。
足下が宙に浮く。
首元に絡まる縄が私を殺した。
刑が執行されたことを知らせる鐘の音が、失われる意識の中で聞こえた。