これは夢? それとも現実? ※ミス投稿作品
ぴちゃぴちゃ、ばしゃばしゃ、ぼたぼた。
雨が降っているというのに街には人で混雑し、誰もが傘を差して歩き傘の波を生み出す。赤信号になると傘の波はピタリと断ち切られる。先頭に立っていた男はふと傘を後ろへ傾けた。天高く積み上げられたビルに自分のアパートメントより大きい大型ビジョンを眺める。
どこにでも見かけそうな紺のジーパンに赤と白のシャッツ、野球チームのジェット・キャップを被った人間が、青い草むらから兎よろしく飛び出す。だが一般人ではない。その証拠に手にはライフルを持ち何かから逃げているのか、しきりに後ろを振り返っている。
そしてちょうど正面に顔を戻したところで、いきなり頭が庭のスプリンクラーのように血をまき散らし、どさっと倒れ、死ぬ。
蝶が一匹、変形した艶めかしい頭に留まる、蜜を吸いに来たかのように。だが風の変化を感じ取ったその蝶はパタパタと飛び立つ。死体が太陽というライトから遮られ暗くなる。中腰で近づいてき来たのはビジネスマン姿だが、不釣り合いなボディアーマーとアサルトライフルを持っている。
周囲を警戒しながら片手で死体の胸ポーチやリュックサック、腰裏のポケット。物というものが入るところを全てに手を素早く入れ中身を放り出す。散乱した中に小さな長方形の白い紙箱、タバコを見つけてビジネスマンは口元を緩める。
振って切り口からタバコを一本出し
他には遠距離からスナイパーライフルで殺すシーン、一メートルない距離でのショットガンで殺すシーン、今にも死にそうに這いつくばっているプレイヤーの頭にハンドガンを突き付けゼロ距離で殺すシーン、殺すのシーン、殺すシーン、殺すシーン。全て殺しのCMだ。ただ違うのは如何にスタイリッシュな殺人か、ただそれだけ。誰もいない暗い家に帰る。そしてベットに倒れ布団を自分に巻き付ける。俺はチャンバーに弾薬が入っているかを確かめ安全装置を外し、構える。ここは目の前の風景はベットから見える天井ではない、荒廃という言葉がしっくりくる町。そして俺はレティクル中央にいる銃を持ったプレイヤー、敵を殺す。射撃時に発生した消炎の匂いと反動に俺は思う。
確実なのは二つ。俺以外を殺すことが俺の役割そして、これは夢? それとも現実か?
ポッと思いついて書いた作品。