夢の中にて
「んー…眠い…」
「夢の中でも眠いんですかぁ〜?」
「…ん…ふわぁ…あ、リープだ」
「華さん今日私の存在忘れてましたよねぇ〜?」
「えっと……」
「まぁ、良いですけどぉ〜」
「そういえば、今日の朝からいなかったね。なんか気づかなかったけど」
「まぁ、私が『忘却』かけてたからなんですけどねぇ〜」
そんなのあるんだ。ん…忘却?あとで聞こうか。
「あれ?そういえば私、夢への干渉OFFにしたはずなんだけど?」
「やっぱりぃ〜、愛の力っていうか〜?ラブですよねぇ〜」
「本当にそうなの?」
「勿論ですよぉ〜。私は華さん好きですしぃ〜」
「いや、そっちじゃなくて愛の力で夢への干渉変えられるって方」
「いやぁ〜、やっぱり私はぁ、夢の扱い主って呼ばれるくらいなのでぇ〜、そういうのは無視できるんですよねぇ〜」
「そっか…悲し…」
「えぇ〜…ひどいですよぉ〜」
「あ、そういえばなんで朝いなかったの?」
「なんでそうやって話変えるんですかぁ〜…え〜っとですねぇ〜。私ぃ〜、レントさん苦手なんですよねぇ〜」
「え?なんで?」
「あの人ぉ、神様と関係持っているのは知ってますぅ?」
「うん。確かレベル上限が凄いんだよね。世界最強だとか」
「まぁ、私の方が強いんですけどねぇ〜。夢の中では。それでぇ、あの人はぁ私のことを知りたがってるんですよぉ〜。具体的にはぁ、椅子に縛り付けて逃げられないようにしてからぁ、『観察使われたりぃ、嘘ついたらナイフが飛んでくるようにしてぇ、質問したりぃ〜」
あれ?サイコパスじゃないそれ?あ、けどこの世界は魔法が使えるから割と普通なのかもね。
「ちなみにナイフに当たったら、リープでも死んじゃうの?」
「えぇと、私のステータスにぃ、『不老不死』というものがあるんですよぉ〜。このステータスはぁ、名の通り不老不死になるんですけどぉ〜、体力を上回るような攻撃を食らうとぉ〜ものすごい痛みがはしって、5秒間無敵になるっていうステータスなんですよぉ〜。なので、死にはしないんですがぁ〜痛いので〜嫌ですぅ〜」
「うわ怖い」
レントさん…怖い…
「あれ、ちなみにそのレントさんって表と裏どっち?」
「裏の方ですねぇ〜。あの静かな方ですぅ〜」
あの人じつはそんなことしてたんだ…あ、けどわたしにはしなかった…はっ⁉︎これからされてしまうのでは?怖い…
「さっきみたいな状況に陥った時助かる方法ってある?」
「えっとぉ、華さんにメニューの権限付与しましたよねぇ〜。あのメニューを脳内表示モードにするんですよぉ〜」
「え?脳内表示モード?」
「そのまんまですよぉ〜。ちょっとメニュー出してくださ〜い」
え?どうやって出すの?とりあえずカモン、メニュー。あ、出た。
「そしたらぁ、右下にあるぅ、メニュー表示というものを押してくださ〜い」
えーっと、あ、なんか出てきた。
「その中にあるぅ、脳内表示モードっていうのをぉ、押してください〜」
あ、なんかタブレット消えた。どこ行ったんだろ?
「そしたらぁ、目を瞑ってみてくださ〜い」
言われた通りに目を閉じて5秒程待つと、メニューが出てきた。うーんと、目を瞑っている時って目が暗いまぶたを見ているんだよね?それなのにメニューが見えるってどういうことなんだろ。
「あ、今ぁまぶたにメニューが映ってるって思いましたねぇ〜?」
「この子怖い」
「正しくはぁ、そのメニューは特殊でぇ〜目を瞑ったと判断したら、目だけ別世界に飛ばされるようなイメージで良いですぅ〜」
あ、これ想像したら怖いやつだ。
「話が逸れてしまいましたがぁ〜、メニューのワープありますよねぇ〜」
「うん」
「それをタップしてくださ〜い」
え?どうやって?目だけが別世界に飛ばされるんじゃないの?
「ん〜と…タップするっ!って感じで思ってくださ〜い」
えぇー…えーとワープにタップするっ!あ、反応してる。
「あ、その顔は出来ましたねぇ〜。その後はお分かりの通りぃ、好きな場所にワープしてくださぁい。そうしたらぁ、なんか時間設定があるんでぇ〜1秒とかにすればぁ、すぐにワープ出来ますよぉ〜」
えぇと…あ、今やったらワープしちゃうか。とりあえず自宅は…[x…294.y…480]だったよね?え?なんで覚えてるのだって?前に記憶なくしたと思われる日あったでしょ。その日からステータスに記憶力倍増っていうのを追加したから覚えてたんだよね。で…
「ねぇ、リープ?」
「なんですかぁ〜?」
「さっき『忘却』っていう魔法について話したよね。その『忘却』って記憶も消せるの?」
「そうですねぇ〜というより記憶がメインですねぇ〜。華さんとレモンさんから私の存在を消すのに使いましたし」
「それじゃ『忘却』ってどのくらいの人が使える魔法なの?」
「えぇと…条件がぁ、《呪文の力8000以上》《レベル950以上》の2つですねぇ。なのでぇ…世界の10000000人に1人いるかいないぐらいですねぇ…」
「えーと、それじゃ…レモンは使えないよね…私は…使える…レントさんもきっと使える…リープも使える…あれ?リープのステータスちょっと見さしてもらってもいい?」
「えぇ〜。うーん…良いですよぉ〜。けどちょっと恥ずかしいですぅ」
えーと、リープのステータスは…
種族 人間
名前 リープ
レベル 1000
職業 夢人
HP 1000 MP 9481
攻撃力 200
防御力 9510
素早さ 5918
呪文の力 9127
特殊能力
夢を操ることができる。
えーと…レベル1000かぁ…
この世界にレベル1000って何人いるんだろ?
「この世界のレベル1000の人って何人いるの?」
「えぇと…50人ぐらいですかねぇ…」
「その中で私に関わりのある人は?」
「えぇと…私とぉ、レントさんとぉ、華さん本人ですねぇ〜」
ん…それじゃぁ…私から記憶を消したのは、リープ、レントさん、それと私か…
それじゃこの3人の中に私の記憶を消した人がいるのか…
さっぱり分からない。というか、別に無視しても良い気がする。どうせ私も困ってないし。いいや。
「夢の中で寝ると、あっちに戻れるんだよね?」
「そうですよぉ〜。けれどぉ…あっちにはレモンさんがいますぅ…」
「え?レモンの事苦手なの?」
「え〜っとぉ…そうではないんですけどぉ〜…」
「なんか歯切れが悪いね。どうしたの?」
「レモンさんってぇ〜華さんのこと好きじゃないですかぁ〜」
「え?そうなの?同性愛?それとも師弟として?」
「恐らくぅ〜同性の方だと思いますぅ〜…」
「え…私、女として見られてるってことじゃん…」
「そうですよぉ…それで、あのぉ…」
「ん?それからどういう関係でリープの歯切れが悪いことにつながるの?」
「えぇ〜…私の口から言わせる気ですかぁ〜…?」
あ…察しついたかもしれない。
「つまり…リープはレモンよりも強くなりたいって事だね!」
「わざとですよねぇ…?」
「うん…リープも私のこと好きなの?」
「…恥ずかしながらぁ〜」
えぇ〜…私って同性にモテるタイプだったの?前の世界では異性にモテてたのに…いや同性がいやってわけじゃないけど…
「それでぇ…そのぉ…答えは…なん」
「さぁて、おやすみ!」
そうして、私は寝た。いや答えられないでしょ。
いやぁ〜、異世界で同性愛って普通なの?