上層②
私たちはヤキトリを食べながら、闘技場の中に入った。レモンも普通のヤキトリを食べており、「究極のヤキトリは食べないの?」と聞くと、「あれは本当に大事に食べたいので、あとで食べます」と言われた。ヤキトリを食べながら言われてもあまり説得力がないなー?
この闘技場の中のつくりは単純で、入り口に出場者の受付等があり、脇の階段を上ると観戦席へ行けるようになっている。そこで私の目を引いたのが、受付の隣にあった何か機械のようなものだ。そしてその上には、
16:30 ニュヘルーニ(5.8倍)VSファイルウッド(1.5倍)
17:20 フェネータリア(10.2倍)VSロイヤルセルン(1.2倍)
等のような、何かを表している電子掲示板があった。これ見たらすぐ分かったけど、恐らく賭けだよね。それで(5.8倍)って言うのは倍率だよね。
レモンに聞いてみると、
「これもカジノに次いで人気の賭け事ですね。勝率が魔物の方が圧倒的に高いので、人が勝ったりすると盛り上がったりします」
と言っていた。
なんか、闘技場に抱いていたイメージと違う… 私が思っていたのは、剣士と魔物による熱い闘いを皆でワイワイ見る、そんな感じだったのに… そんなに期待はしていなかったけど…
今は16:20なのでニュヘルー二とファイルウッドの闘いを見てみることにした。入場料とかがないあたり良いねー。
そして、闘いが始まったが圧倒的な力の差がそこにはあった。
ファイルウッドという名前のごとく相手を追尾する『ファイル』を撃たれ、それをひたすら盾でガードする。それの繰り返しだった。ときどきニュヘルー二側が剣で、斬りかかろうとしても、ファイルを撃たれ、結局盾でガードし続ける。結局盾でガードしきれなかった『ファイル』を直に受け、ニュヘルー二側が気絶したのでこの試合はファイルウッドの勝利になった。
『ファイル』は直に受けても燃えることはないらしい。あと、ファイルウッドはどうやら手懐けてあるらしく、ニュヘルー二が気絶したら攻撃をやめた。この試合で、この2つの事を学べたね。必要あるのかな?
なんか、残念になった私は宿に行くことにした。レモンは、「夕ご飯を買ってきます。18:00に宿の前に集まりましょう。」という言葉を言って、下層方面に向かっていったので私は一人で宿に向かい、チェックインをすることにした。
チェックインと言っても「私、大会の参加者です。」と言っただけで部屋の鍵を受け取れた。参加者じゃない人も嘘をつけばタダで泊まれるよね?これ。
私は鍵を受け取り、18階の部屋に入り、部屋にあった時計に目覚ましをかけ、10秒で眠りに落ちた。私、前の世界では引きこもりだったから疲れたの。だから寝る。
そうして、18:00に私は宿前で、レモンと落ち合い、買ってきたヤキトリを部屋で食べて、お風呂に入って、レモンに抱きつかれながら眠りに落ちた。明日から、大会まで引きこもってよー。