私ここにいるよ
すれ違う交差点
誰もかれも
日中の月みたい
半透明
浮かんでも
気づかれない
姿のない姿がある
そんな
かごの鳥は
明日の行方も
知っている訳で
期待など
とうの昔に置いてきた
まだ知らない風
まだ知らない景色
全部外のお話
手が届く
今現在も
終点駅よう閑散としている
茫漠とした
揺蕩う町を
見つめて
静かな空に
浮かぶ雲を
見つめて
合わせ鏡みたい
どこまでも続く
私どこにいるの
開く未来と
閉じる過去の狭間で
秒針の上にも立てずに
逃げるよう走っている
そうしていつしか
立ち止まり
耳をすましてみれば
真夏の鳥は
翼を広げる勇気で唄い
真夏の蟲は
コンクリートを溶かす声で唄っていた
聞こえてきた
数ある声が
命を燃やし
鳴いていた
私ここにいるよと