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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
七話:『纒 慎二』とクーデター
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大通りを抜けると、市街地が見えた。

このあたりも、煙がいくつか上がっていた。

国の兵士が、レジスタンスの場所と見て襲撃をしたのだろうか。

現在の街は、一時的休戦状態なのか落ち着いている。爆発とかそういうものもなかったし。

ひときわ高い建物の病院の入口に近づことしたが、サラが迂回をしていた。


「次に入るときは、こっちから入るように言われたんですよ」

それは病院の真裏にある裏口だ。

警戒しながら裏口から入ると、シンと静まり返っていた。


「静かですね」

「殺気もないな」

静かな病院の裏口から、俺は周囲に目を配った。

ここがレジスタンスとつながっているのなら、獣化した人間がいるかも知れない。

廊下をカツカツと足音を立てて歩きながら、周囲を見ていた。

そして、あるドアの前にたどり着いた。


「あっ、ここが私の診察室です」

「そうか、中に入れるか?」

「その前に誰かきますね」サラの言うとおり、奥の廊下から足音が聞こえてきた。

そして、見晴らしの良い廊下をよく見ると一人の人間が近づいてきた。色は白い服を着ているようだ。


「あの人は?」サラもそれに気づいて、白い服の人物に近づく。

やがて見えるその姿は、白衣を老婆だった。そしてその顔を俺は一度見ていた。


「ハイクイ医院長っ!」

「ああ、サラ来ていたのね」老婆ハイクイは、サラをじっと見ていた。

あいかわらず白衣をダブダブに着ているので、よく覚えていた。


「はい、診療中止になってから気になって、来てしまいました」

「ふむ、そちらは獣化した人間じゃな」

「ああ、一度会ったな」向こうもどうやら俺を覚えていたようだ。

それもそうか、俺の姿は大きくて珍しいからな。


「それで、昨日逃げ出した患者の方は、どうなったのですか?」

「残念ながら、三名か死体となったようじゃ。殺処分という形でな。

二階の部屋に、安置されておるが……遺族にはまだ面会はさせられぬ」

「そうですか」サラの顔が曇った。分かっていたとはいえ、悲しそうな顔を見せていた。


「あの、ほかの医者の人は?」

「まだ、診療は中止にするしかないのぅ。

今のところ内戦状態になっていて、医者の確保を最優先にしているからのぅ」

「本当にそうですか?」サラはハイクイに聞き返していた。


「そうするしかないのじゃ。医者がいなくなれば、この街は終わってしまう」

「それでも今は内戦状態なら、私たち医者には多くの患者がいるはずです!

戦争で戦っている人も、戦争に巻き込まれた人も。等しく救うべきではないのですか?」

「それでも医者は貴重じゃよ。数に限りがある、安全を担保できぬ限り病院は開けぬのじゃ」

「レジスタンス……そこにいるのではないですか?」

サラのその言葉に、ハイクイの顔がはっきり変化した。

老婆の眉がつり上がった変化を、俺は見逃さない。


「サラ、なにか誤解しておらぬか?」

「いいえ、医院長こそ何か隠していませんか?」

「わしは……」

そんな時、入口の方からドスンと強い音が聞こえた。


「なんだ?」

「出てきなさい、ハイクイ医院長!あなたを国家反逆罪の容疑で逮捕します!」

どこかで聞いたことある女の声が、病院の中にも響く。


「やれやれ」とハイクイが思ったら、また外の方から大きなドスンという音。

病院内に、わーっという人間の声が響く。

まもなくして、この静かな病院のこの場所を探し当てた。

それは鎧を着込んだ兵士たちの集団、その先頭には黄色い鎧を着た若い女が立っていた。

腰に長い剣を携え、背中に大きな斧を背負ったその女を見て俺は驚いた顔を見せた。


「お前は、シアラっ!」

そう、そこにはレティアの親友で、つい二日前にこの街の勇者ルデースになったシアラが立っていた。



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