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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
七話:『纒 慎二』とクーデター
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個室に四人入ると、流石に狭い。

サラの部屋は、大きなリュックとか、テーブルの上には難しい本。

さらには実験器具のようなランプや、ガラスの機器がいくつも置いてあった。

とても年相応女の子の部屋に見えない。

四人が同じテーブルにつくのも、なんだか久しくないなと思えた。

そんな中、サラがリュックからあの大きな本を取り出した。


「これが、『ナーリーレシピ』か。ラオルが求めている」

「ナーリーっすか、様々な薬を研究されていた薬剤師っすね」

レティアが驚き、ノニールが知識を披露した。

二人共知っている有名人らしく、やはり俺との間に温度差があった。


「そう、私のママです」

「それは驚きっすね。そうっすか」

「そんなに有名なのか?」

「ええ、少なくとも魔法を使うものは知らない人はいないっすよ。

魔力薬と言われる薬を開発し、基礎理論を作った人っす。

現在出回っている魔力薬は、ナーリー様がいないと誕生しなかったとさえ言われます」

ノニールは鼻息荒くに、サラの母(ナーリー)の偉業を話していた。


「そ、そうなのですか?流石です」サラはイマイチ理解していないようだ。

「ああ、そうっすか。なるほど。ラオルが狙うのも分かる」

「私は、どうしてもこれを守らないといけませんね」

「ああ、つまり俺がサラとレシピを守るということだ」

「でも……」

そう言いながら、窓の外では遠くの方で赤く光っていた。


「反乱軍が、動いている」

「多くの怪我人が出るでしょう。私は医者として、このままにしておくわけにはいきません」

「あの反乱軍について、なにか詳しいことを知っていないかしら?」

「さっきの虎男がリーダーらしい、ソーリックって名だ」

「え?」レティアが驚いた顔を見せた。

もしかして、さっき虎男に啖呵(たんか)切っていたときは何も知らなかったのかよ。


「まってまって、レジスタンスは獣も操っている噂でしょ?

あいつが全部をやっているの?あの虎男が」レティアは興奮している。

「それはわかりません。病院で処方された可能性が高いと思われます。

患者はステージ2で『ノクセント』を、処方された際の副作用である可能性が極めて高い」

「『ノクセント』?」

一応俺に説明してくれたことを、サラがもう一度レティアに説明する。


「なるほどね、その薬の副作用を強める使用の仕方をしているわけね」

「つまり病院にいたあの獣は、間違いなくあの病院の患者ですから」

「あたしたちも二人ほど獣を、目撃したわ。病院の患者脱走と関係あるかしら?」

「ええ、おそらくは……」

「なあ、サラ」レティアとサラが話をする中、俺が口を開いた。

「なんですか?」

「アルバーニ病院と、ソーリック。この二つ、なんか関係あるのか?」

「えと……ソーリックは病院の患者ではないかと」

「虎の頭をしているのにか?」

「確かに獣化病のステージ3ですが?あっ、そうですか」

サラがなにかを思い出した。


「どうした?」

「ハイクイ医院長と一緒にいたことがあります」

「本当か?」

「ええ、病院内でハイクイ医院長が虎頭の人と医院長室で話をしているのを見たことあります」

「どうやらレジスタンスとあの病院は、なにかしら繋がっているようだな」

これは相当複雑な人間関係があるのかもしれない。

ソーリックが、サラのことを知っているのも理解できた。

ということは、病院で現在仕事をするサラはレジスタンス側につくのだろうか。


「後はレジスタンスを、滅ぼすことね」と空気を読まないことを、平気で言うレティア。

「レティア、お前はレジスタンスを滅ぼす側に回るのか?」

「僕らは、勇者っすよ」それを言ったのはノニール。

「そう、勇者は貴族みたいなものよ。そしてあたしの友、勇者ルデースもマリアも国とともに戦うわ。

レジスタンスとは避けられない戦いをするの」

「首を突っ込むのか?」俺は苦笑いをしていた。


「勇者ルデースって、なんですか?」サラが首をひねって聞いてきた。

「あたしの友よ。そしてこの街の、勇者でもあるわ」

「そうですか……」サラの顔が浮かない。俺は苦笑いをして、レティアを見ていた。

「おい、レティア。サラはレジスタンス側の人間だ」

「な、な、なんでよ?」

「ちゃんと考えろ、サラはあの病院に今いる!

しかもついさっき、わざわざ勧誘されているし」

「あっ、サラ……」

「ううん、何の関係でもないですから」そう言いながらサラが笑顔を、レティアに見せていた。

だけどそれは、はっきりとした作り笑いだと知っていた。


「ちょっと外の空気、吸ってくるね」

「あっ、ごめんね、サラ」

「いいの、レティアは何も悪くないから」

立ち上がったサラは、そのまま部屋を出て行った。


「俺も、ちょっくら出てくる」

「うん、頼んだっす」ノニールが元気なく俺を送り出していた。


「レティア、サラと戦う覚悟は出来ているのか?」

「戦えるわけないじゃない」

「そうか、それは助かる」俺は最後にそう言葉を交わしてサラを追いかけていった。



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