表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
七話:『纒 慎二』とクーデター
90/639

090

俺たちがこの部屋に逃げてきて、三十分あたりが経過した。

俺とサラを逃がすために、レティアとノニールは残った。

ラオルはそれなりに強いが、相手は一人。

それなのに、二人共戻ってくるのが遅い。


「遅いな」

「うん、マトイさん」

俺とサラの間に沈黙が続く。ラオルの名前を出したあと、サラは困った顔で俯いていた。

そして沈黙が、ずっと続いていた。なんだかこの空気は居心地が悪い。


「あの二人は、強いから負けたりはしないと思うが」

「そうですね」それでも、言葉に感情はない。

ダメだ。さっきまでいい空気に戻ったと思ったのに、また重苦しくなった。


「ん、なんだこれは?」そんな時、置かれたリュックサックが目につく。

いや、正確には僅かにはみ出した本のようなものの上の部分が見えた。


「あっ、これは……その……」慌てたサラ。慌ててリュックの前に立つ。

「何を隠した?」

「えっ、これは大事なもので?」

「もしかしてラオルが言っていた『ナーリーレシピ』か?」

「あっ、うん」すんなりとサラが自供した。ラオルが欲しがっている本だ。


「そういえばサラが、渡すのを拒否していたけどこの本はなんだ?」

「私のママで薬剤師の、ナーリーが書いたレシピです」

サラがリュックサックを開けて、一冊の大きなノートを取り出した。

表紙は古ぼけていて、年季の入ったボロボロなノートだ。


「これが、ラオルが欲しがる本。なんでアイツが欲しがるんだ?」

「おそらくこの本の内容を、彼は知っているからです」

「どういう意味だ?」

「私のママ、ナーリーはテスコンダルで優秀な薬剤師です。

ナーリーは世間に自分の薬剤研究の基礎を書に残した人で、その人が唯一世の中に出回らせなかった本。

これが『ナーリーレシピ』です」

「それはわかるが、やはりラオルが欲しい理由はわからない」

「おそらく、私が解明できない薬があるのでしょう」

「解明できない?」

俺は首をひねった。


「はい、このレシピは全ての薬剤の知識がないと解明できません。

だから私は、このレシピの全ては理解できません。

それでも、このレシピを誰かに渡すことはできません」

「ましてや、あの怪しいラオルならなおのことだ。そういうことか」

「はい」サラは、再び大事そうにリュックサックの中に本をしまった。

それと同時に、下の方から足音が聞こえてきた。


「レティアさんが、戻ってきたのでしょうか?」

「うーん、それにしては数が多い」

足音はひとつふたつではない、もっと多い。


「何だ、すげえ嫌な予感しかしないんだけど」

俺はすかさず、サラとドアの間に割って入る。

そのまま、俺とサラは息を飲んでドアを見ていた。

やがて、足音がこの部屋で止まる。数はどうやら四人。


「ここにいるのか?サラ・バリジャッド」

ドアを開けた瞬間、青いマントに黒い虎の頭の人間を、ど真ん中に立っていた。

その脇に、兵士みたいな三人を引き連れていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ