表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
七話:『纒 慎二』とクーデター
87/639

087

しばらくぶりに会ったサラは、心配そうな顔を見せていた。

血の気が引いたような、長い髪も乱れていた。

だけど、紛れもなくサラであり、俺の担当医であり、俺がボディガードする相手だ。


「サラ、無事だったか?」

「はい!みなさんも無事で何よりです!」

「一体何が起きた?」

「クーデターです」サラは一言、静かに放つ。


「クーデター?その割には獣もいるが……」

「ええ、この病院から獣化病の病人が何人か突然逃げ出してしまいました。

私たちはただの医者で対応できないので、自宅に一時帰宅という形になったのです」

「そちらも、いろいろ動いていたようね。あたしたちが、勇者の後継争いをしている間に」

「あのここに……」

「誰かいる」俺は獣の気配を感じ取った。そいつは、四階建ての病院の屋上から現れた。

そして、飛び降りてきた。下には俺たちが、いやサラがいた。


「くそっ、サラっ!」俺はサラに覆いかぶさるように抱きしめた。

サラは驚く暇もなく、俺の巨体が迫っていた。

そのまま、俺は強引に倒れこむ。

爪を突き立てて、そのまま飛び降りてきた。


「マトイっ!」叫び声をレティアが上げた。

グシャッと、俺の毛皮の上に降りた獣。俺の背中にいたこの獣は、別の狼男だ。

俺の背中に、はっきりと爪が刺さっていた。

重力を生かした攻撃は、俺の背中から赤い血を出させた。


「いてぇ」感情的ではないが、初めて痛みを感じた攻撃を受けた。

「ガアルルッ……」

「ちょっと俺も怒るか」

ゆっくりと立ち上がった。背中には狼頭が爪を立てて、壁にしがみつくクライマーのような体勢だ。


「マトイさん……」

「ごめんな、危険な目に合わせて」

「えっ」サラがきょとんとした瞬間に、俺はサラから離れた。

そのまま俺は、後ろに大きくジャンプした。

そのバックジャンプは、驚く程俺の動きと違って早い。

そのまま、俺は背中にいる狼頭を病院の外壁に潰した。


「ぐはっ!」大きな血を吐いて爪がボキッと折れた後に、狼頭の体が背中にズルズルと落ちていった。

「マトイ、あんた……」

「マトイさん、大丈夫ですか?」

すぐに、サラが駆け寄ってきた。

背中は爪の跡が残り、赤い血がポタポタと垂れていた。


「平気だ、それより……」

「ちゃんと止血しないと、ダメですよ。バイキンが、入っちゃうから」

「この獣が現れたということは、ヤツもいるのか?」

「正解です」

そう言いながら、やはり病院の屋上から一人の人間が降りてきた。

初めは真っ黒な布だと思ったが、そいつは華麗に地面に着地……ではなく数十センチほど浮いていた。


「また、登場っすね、魔術師ラオル」

そう、そこには白い肌の魔術師がにこやかな顔で俺たちを見下ろしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ