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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
六話:『纒 慎二』とデュエル
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黒いローブの人物は、気持ち悪いほどの白い肌の顔だ。

ほぼ全身が黒いローブで覆われている、気味の悪い人物。

ノニールも知っているようで、驚きはあまりなかった。


「おやおや、ラオルがここにいたっすか」

「お久しぶり、勇者の取り巻き魔法使い君」ラオルを不敵な顔で見ているノニール。

「やれやれ」俺は嫌そうな顔で、頭をかいていた。


「どうしてそんなに嫌な顔を見せるのか?獣の子」

「単純に、お前のその姿が嫌だからな」

「それは困ります、獣の子は我らに必要です。圧倒的なその強さが」

「本当にモテモテっすね」ノニールが茶化す。

「こんなのにモテたくはない」

俺はゆっくりとラオルの前に歩いていく。


「やはりあんたが黒幕か?」

「なんのことですかな?」

「ブリニッドに会った人物、薬を与えて決闘を邪魔した張本人」

「そうか?我は単に手伝っただけ」

ラオルは不敵な顔で、俺とノニールを見ていた。


「手伝った?ブリニッドか?」

「クライアントの名前を、簡単に言う人間は依頼主から信用はされないですから」

「まあ、確かにな」

喋りながらも、ラオルとの距離を俺はつめていく。


「それにしても残念でしたよ」

「残念?何が?」

「勇者の始末は愚か、剣を奪うこともできなかったわけですから」

「やはり、勇者の剣が目的か」

「ええ、残念です。しかも勇者を背後から抹殺する最後の奇策も、こうして不発でしたし」

ラオルが、両手を広げて首を横に振った。それと同時に、魔法を詠唱した。

腕の動きから雷の魔法を放つが、やはり強靭な俺の体に通用しない。

巨大な俺が、ノニールの壁になって立ちふさがっていた。


「言いたいことはそれだけか?」

「ええ、我はこれで終わりではありませんから」

「観念したようだな」

「『獣の子』の基地外的な強さに、正面から戦っては勝てないのは知っているので」

「ほう、そうか。じゃあ、遺言を承ろう」

「彼女の薬には助かった、礼を言う」

「薬?」一瞬眉をひそめたが、俺はすぐに右腕を振り上げた。

ラオルは狡猾だ。彼が言葉を吐いた後に、俺は頭の中からすぐにコマンド《たたく》を選択。

俺の右手の一撃で、軽く吹き飛ばされたラオル。

だけど、それも体が簡単に砕け散って、ねずみに分裂し、黒いローブを残して消えていった。


「ラオルって……やっぱり気持ち悪いっすね」

「全くだ」

足元を駆け抜けるねずみが、そのまま裏路地の何処へと消えていく。

そういえば、ラオルは二人の勇者を狙っているのか。


「一旦、二人のところに戻るか」

「そうっすね、あっ!」

「どうした?」

「あっちの方、家が燃えていないっすか?」

それは煙が上がっていた。煙が見えても火は見えないし、その煙の元もかなり遠くのようだ。


「火事か?」

「まあ、そうっすね。でもあっちの方は貴族街っすよ」

そう言いながらもノニールと一緒に、魔王の穴のそばにいる二人の勇者のところに戻っていた。

だがその煙はこれから起こることの狼煙だと、俺たちが知ったのは今から数分後だった。



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