079
夜になって、俺らはルデース邸に移動していた。
二つの入口があるマリアたちの屋敷の、ほぼ真ん中に広い応接間があった。
二つの勇者一行が集まり、食事を食べていた。
長いテーブルに、屋敷の二人の当主が揃う。シアラとマリアの座る間に、剣と宝石が置かれていた。
「何もありませんが、ゆっくりして言ってくださいですわ」
「うん、コンレイやみんなには、感謝してもしたりないもの」
肩に包帯を巻いていたマリアと、胸に包帯が見えるシアラが、使用人に料理を用意させた。
怪我をした二人だが、傷は浅いようだ。勇者はサラの言うとおり、頑丈にできているようだ。
二人の当主の計らいで、俺たち勇者レティア一行はここに招かれた。
「それはいいが、あのブリニッドはどうなった?」俺が質問した。
「現在、屋敷の牢に閉じ込めておりますわ。気を失っているらしく、本格的な調査は明日からですわ」
「ねえ、あの強さって何?メチャクチャにすごかったけど……」
俺に質問にマリアが答え、逆にシアラが俺に質問してきた。
「俺は特別な獣らしい。詳しいことは、俺の担当医にでも聞いてくれ」
「そうよ、マトイには担当医がいるの。とーっても可愛い担当医がね」
レティアも、からかうように言っていた。
「可愛い担当医?」
「可愛い担当医はおいといて……てか、ここで話することでもないだろ」
「だけど、ほら闘技場でも見つかった薬もあったし」
「そうね、あの薬……国立病院の方で調査が決まったわ」
マリアが、難しい顔で答えていた。
「国立病院か、残念だけどあそこは獣化病の研究は遅れているのよね。
ブリニッドも獣化病だとは思えないし」
「そうか……」
ブリニッドは、ある薬を飲んでおかしくなった。
闘技場の中で、彼が飲んだ薬で獣……狼男になった。
あのあと、俺とレティアが二人で倒したのは紛れもないブリニッドだ。
「あら、あたしの仲間のマトイはとても強いの。どう?すごいでしょ」
「コンレイの仲間に、こんな強い人がいたなんて……驚きよ!」
「見た目は大きくてちょっと怖いけど、いざってときは頼りになるのよ!」
レティアが俺をしっかり評価している話を聞いて、少しムズ痒い思いがあった。
「まあまあ、シアラもこれで勇者になったのね。おめでとうですわ」
拍手をしてマリアが、隣のシアラを祝福していた。
「だけど、私のせいでマリアの勇者の芽は無くなってしまった」
シアラは心にそのことが引っかかっていた。
困惑するシアラをじっと見ているマリア。
「それが、あなたの勇者に対する思いですか?」
「マリア……」
「あなたは勇者になりたくなかったのですか?」
隣に座るマリアが厳しい顔で、シアラを見ていた。
そんなおり、マリアはそばに置いてあった勇者の剣と勇者の宝石をシアラに向けていた。
「私は勇者になれませんが、あなたは勇者になるべきです!」
マリアが険しい顔でシアラを見ていた。




