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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
六話:『纒 慎二』とデュエル
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時間は戻る。

レティアと会話の最中に俺は、隣の部屋に向かう。

マリアがレティアの激励を受けて、感動をしている会話も小さくだけど聞こえていた。


隣の部屋は、掃除用具の倉庫。倉庫の中には、レティアが呼んでおいだ人間がいた。

三畳程の狭い部屋に、太った男が縄で縛られていた。老けた顔で初老の太った男。

実はアルカンテの大臣でもある。俺は、大臣の縄を解いた。


「しかし、このような扱い……いくら勇者レティア様でも……」

「あんたが無実を証明してくれれば、それでいい」獣姿の俺が言うと、大臣の男は一瞬にして怯む。

目が細い顔は間抜けだけど、怒り目にすればそれだけで十分な脅しになった。

二メートル以上の巨大な体も、相手に威圧感を与えているだろう。


「全く、あの件は……わしは何も関係ないぞ」

「そのためにこっちに来ればいい」

怖い顔を見せた俺は、大臣の背後から押して隣の部屋に戻っていく。

俺の行動に合わせるように、レティアがマリアと話を進めた。


「彼は知っていますか?」レティアが、表情を変えずにマリアを見ていた。

「アルカンテ貴族議会の大臣……なぜここに?」マリアは驚いた顔を見せた。

「この人か?マリアが、不倫をした相手は」俺は、ぶっきらぼうに言う。

二人のやりとりを見ているレティアは、大臣を睨んでいた。


「全部話して、あなたとマリアの間に起きたことを。

どうしてマリアと大臣の不倫が、疑われたかのかを」

「わしも、噂が一人歩きして困っておるんじゃよ」

初老の大臣の男も、落ち込んだ顔を見せていた。


「私は大臣と相談を、受けていたの。魔法に関してだけど……」

「わしは、マリアに魔法を教えておったのじゃよ。リドリーはマリアの魔法の師。

本来なら、魔術師ギルドの魔術師が教えるのが筋。

だが、わしも元は魔術師ギルドに属した魔術師でな。マリアに魔法に教えていたのじゃよ」

「それを根も葉もない不倫なんかの噂にされたのよ!ヒドいわ」

マリアが憤りを見せていた。それをレティアが落ち着いた顔で聞いていた。


「そう、これは作られた噂。ある程度の事実から、嘘を固めて作られたこと」

「どういうこと?」

「あなたは不倫をしていない、でも大臣と一緒にいたことを見た何者かがこの噂を焚きつけた」

「やはり、シアラですのね。絶対に、許せないですわ!」マリアは拳を握った。

だが、レティアは首を横に振っていた。


「シアラだという証拠はあるの?」

「シアラ以外、考えられないわ。決闘もあるし、そうよシアラ側のリークに間違いないわ!」

「彼女に確認したの、証拠は得たの?」

動じないレティアに、マリアは困惑していた。


「シアラの方も調査したわ、やはり同じように彼女の暴行事件の話があった」

「ええ、そう。シアラが悪いのよ」

「向こうの証人も、あたしは確認したわ。今頃ノニールが交渉しているから」

「コンレイ、あなたは何を……」

「あたしはね、二人共が決闘の空気によって惑わされていると思うの。

よく確認もしないで、お互いを敵に決めて受けてしっかりしなさい!」

レティアは厳しい顔で、マリアを睨んでいた。


「コンレイ……なんで?」

「これは噂。根も葉もない虚実。噂って、面白い方に広がっていくものだし。

それに話を面白くしている、他の人間が脚色しているんじゃないかしら?」

「言われてみれば……」マリアの追求が止まった。

「でも、ここにはちゃんと証人もいるわ。

戦った後に、ちゃんと証人に闘技場で話させれば分かることよ。これで、マリアの疑いは晴れたから!」

レティアの言葉に、マリアは急に黙ってしまった。

一分ほど、静寂が続く。俺の前にいる大臣も、心配そうにマリアを見ていた。


「コンレイ……うん。私……正直不安でしたの。

シアラがそんなことをするはずないと思いながらも……私はどこか疑っていました。

その結果、ずっと私は嘘にも気づかずに……とても恥ずかしいですわ」

「マリア、仕方ないわ。誰にでも間違いがあるわ。

だけど本来は、あなたは冷静に戦えるし判断もできるはず。

あたしを助けてくれたあなたは、それをよく知っているから」

「ありがとう……コンレイ」

レティアの言葉に、再び涙がこみ上げてきたマリア。


「いつもどおりちゃんと戦えば、マリアだったら勝てるわ」

「そうね。コンレイ、本当にありがとう」

マリアは、そう言いながら最後はレティアに笑顔を見せていた。



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