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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
六話:『纒 慎二』とデュエル
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071

(??? EYES)

その日、五度目の災いは現れた。

城の中にいた私は、災いの元に向けて走っていた。

口ひげを蓄え、兜をかぶった私は走る。勇者である私は、鉄の鎧を身にまとって城の宝物庫に来ていた。

首飾りをした魔法使いの女と一緒に、城の地下室に来ていた。

地下室は、いくつもの倉庫がありそこには黒い幽霊が浮いていた。


兵士が戦うも、あっさりと幽霊の魔法で倒されていた。

地下室には、何人もの兵士の亡骸が見えた。


「これは、やつは妖魔か?」私は幽霊を見ていた。

その幽霊は、人型の姿をしていた。黒く短い手足に、中央には大きな顔。

今まで見たことのない種類の幽霊だ。顔がどこか間抜けな顔にも見えた。だが、この幽霊は他にない特徴がある。


「どうします?」女が聞く。

「カイル様の到着までは、あと一時間か。なんとか持ちこたえるぞ」私の周りに兵士が集まる。

皆、武器を持って幽霊に備えていた。


「何をそんなに怯えている?」私たちに喋りかけてきた。

「ボラウェン、どうします?」

「力を貸してくれ、リドリー」

「ええ、やるのですね」私は、隣にいた髪の短い女魔術師リドリーに声をかけた。

黒い幽霊は、私たちの様子を物珍しそうに見ていた。


「無駄なことを、お前らがいくらボクを城に縛りつけようとも……無駄なのだよ」

幽霊の前には、黒い無数の玉が現れた。その玉を、私たちの方に放つ。

「勇者様を守れ!」

兵士が、身を呈して私たちの前に阻む。そして黒い玉が次々と兵士に命中すると、次々と爆発した。


「うわあっー!」兵士たちの阿鼻叫喚の声が、地下室に響く。

倒れゆく兵士の合間をぬって、黒い玉が私たちのほうに向かってきた。

私はリドリーと共に向き合って、手を合わせた。


次の瞬間、リドリーの胸が光る。いや私とリドリーを守るように、光が発生してやがて私とリドリーを包み込んだ。

幽霊の黒い玉が、何発も私たちのほうに吸い寄せられていく。

だが白い光が部屋全体に広がって、やがて光が晴れた。

そこには、二人ではなく一人の青い鎧の男が立っていた。青年の男が、一本の剣を持って仁王立ち。


「進化したか」

「私は勇者として、決して負けるわけにはいかない」

剣を構えて黒い腕を長く伸ばして組んでいた幽霊を、突然現れた青年は睨んでいた。





(MATOI’S EYES)

アルカンテの街は、花火が上がっていた。

このイベントで上がるのは、通算六度目の花火だ。そのイベントは、俺がいる闘技場で起きるものだ。

円形の大きな闘技場、舞台の裏手に控え室があった。

大きなテーブルに、ロッカーがあった。簡易台所みたいなものも見えた。

そんな控え室の中に、俺はレティアとそれからクラーがいた。


「本当に助けてくれるのですか?」

「ええ、クラー……あなたはこの戦いに、決着をつけたいんでしょ」

レティアとクラーが、ほぼ中央で会話をしていた。俺は、ドアを見張るようにドア付近に立っていた。

小さな女の子の盗賊は、鎧姿のレティアを見上げていた。


「マリア様とシアラ様、どちらでもいいから勝ってほしい。『魔王の穴』をこのままにしておけない」

「あなたの本音はどう?」

「この話が真実なら、マリア様は戦うでしょう。シアラ様はどうですか?」

「ノニールに任せているわ」レティアが、ちらりと奥を見ていた。

「完璧ですね、レティア様」クラーが降参した様子で、手を横に広げた。


「ええ、どちらが勇者になってもいいと思う。

ただ、勇者不在ということで世間に迷惑をかけてはいけない。

大丈夫、あたしに任せて」クラーに、ウィンクしてみせたレティア。

「レティア様は、本当にお二人が好きなのですね」

「当たり前でしょ」胸を張っていたレティア。

二人が話す中、俺のドアの方から近づく足音が聞こえた。


「そろそろ本番だ、レティア。用意はいいか?」

「ええ」俺に促されて、レティアがドアの前に歩いてきた。


まもなく、ドアの奥から聞こえた足音が止まった。

ドアが開くと、一人の女が立っていた。

長いツインテールの女は、ノースリーブと赤いタイトスカートに赤いミニブーツ。

戦う格好で、マリアが姿を見せていた。


「あっ、コンレイ?どうしましたの?」

「マリア、今日は試合でしょ」

「えっ、うん。クラー、どういうこと?」

部屋の中にいるクラーを見つけたマリアが、手を振って声をかけた。

ドアの前にいたマリアを、部屋に引き入れたレティア。

アイコンタクトをしたレティアの動きを見て、俺はすれ違いざまに部屋を出て行く。


「マリア様はレティア様の知り合いと聞いたので、陣中見舞いをしに来ました」

「えっ、そうですの?」

「マリア、あなたを応援しに来たの」

マリアの両肩に手を乗せて、レティアが微笑んでいた。


「あれ、なんでしょう……嬉しいですわ」

「マリア様」突然のレティアの激励に、驚きから涙へと変わっていく。


「私、こんな激励を……コンレイ……」

「まだ泣かないの。試合は、これからでしょ!」

「うん、でも……私は……」マリアは、涙を拭っていた。

「マリア、そこで一つ話をしておきたいことがあるんだけど……」

「話?なにかしら?」

「あなたの噂の正体を突き止めたのよ」

レティアはマリアの頬に、手を添えていた。

マリアもまた、レティアの顔をじっと見ていた。



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