表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
五話:『纒 慎二』と双子の友人
69/639

069

その日の夜、宿の個室に戻った俺はある女に呼び出されていた。

それはサラだ。サラの部屋に呼ばれた俺は、無理やり連れて行かれた。

サラの部屋は俺の部屋より、ベッドが小さいだけに広く感じた。

大きなリュックも置かれていて、テーブルには小さなランプが置かれていた。


その部屋に、レティアが既に先客でいた。俺が連れ込まれるなり、レティアのそばに座らされた。

右腕が包帯姿のレティアは、なんだか申し訳なさそうに縮こまっていた。


「レティアさんとマトイさん。なぜ、外に出て行ったんですか?」

「それは……旧友に会っていた」サラが怒っていた。怒られたレティアの歯切れが悪い。

腰に手を当てて起こるサラは、ちょっとだけかわいく見えた。だけどそんなサラがすぐに俺に詰め寄る。


「マトイさんは?」

「その付き添いだ」

「そうですか」サラは、大きくため息をついた。

その表情は、笑顔ではなく怒りだ。頬を膨らませて、椅子に座った俺とレティアを見ていた。


「レティアさんは、右腕がまだケガ治っていないですよね?」

「もう大丈夫だ、ほら……このとおり」サラの前で、包帯姿の右腕を見せてきた。

「ちゃんと治っていませんよ、剣を持つときに力が入らないでしょう」

「そんなことはない、ほら剣だって」

立ち上がってレティアが剣を抜いて振るのだが、バランスを崩して落としてしまう。

表情を歪めながら、ゆっくり剣を拾い上げた。


「腕の踏ん張りが効きません、まだ完治はしていませんよ」

「ごめんなさい……」サラが怒り、レティアがしおらしく謝った。

「マトイさんも、マトイさんです!レティアさんがケガしているのに、外に連れ出すのはダメじゃないですか!」

「すまない」俺も、素直に謝った。

「あれは……あたしが連れ出したのよ!マトイは……」

「それでもですっ!」頬を膨らませたサラは、腰に手を当てて俺の前を上目で見ていた。


「けが人を外に連れ出したら、同罪ですよ」怒っているようで、悲しんでいるように見えたサラ。

「はい、反省します」

「全く……前もそうでしたよね?レティアさんは、すぐ飛び出そうとするんだから」

「面目ないわ。だけどこのまま何もしないのは、いられないのよ。時間もたった三日しかないし」

「……わかっています。レティアさんは、勇者ですから」

呆れて、自分の椅子に座ったサラ。疲れた顔で、大きくため息をついていた。


「半年前だったかしら?私が治療した時も、部屋を抜け出して戦いに行こうとしたでしょ」

「う、うん。あの時は……仇討ちを。アイツを逃がすわけには行かないの」

「そういう人なのは、私もわかっていますから。

レティアさんは、理由なく行動する人じゃないし」

そう言いながら、サラはテーブルの上に薬を置いた。どうやら、粉薬のようだ。


「これ……痛み止めですよ、二回分。食後に飲んでおけば、痛みを感じずに剣を振れると思いますよ」

「サラ……本当にありがとう」

「当然です、私は医者ですから」やはりサラは、にっこり微笑んでいた。

でも、すぐに顔を真顔に変えた。


「でも、ちゃんと自分の体のことを第一に考えてあげてくださいね。

自分のことを面倒見られるのは、自分だけですから」

「わかったわ、サラ」

「あの、ただいまっす」

そんな時、おそるおそる部屋に入ってきたノニール。手提げかばんを持って現れた。

もしかしてノニールは部屋の外で、この会話を聞いてタイミングを計っていたのか。


「ノニールか、おかえり」俺が声をかけた。ノニールもゆっくり部屋の中に入って、テーブルのそばに来た。

「みんなが部屋にいないから、順番に部屋を回ったっす」

「サラに拉致された」

「いいえ違いますよ、ノニールさん!」

俺の言葉をにこやかに否定するサラ。さっき怒っていた表情とは全く違う。


「そうっすか、それよりレティア様。マリアさんに、ちゃんと話を聞いてきたっす」

「マリアさん?」サラは首をひねっていた。

「ああ、あたしの知り合いだ。あたしたちも、シアラに会ってきたわ。

それじゃあ、早速話そうか。これからのこと」

「その前に……」開いた椅子に座るノニールは、手提げ大きなカバンを持っていた。


「マトイ君、これ……頼まれていた洗濯物っす」

ノニールは、俺は手提げかばんを受け取った。

そこには昨日汚れた、サラに買ってもらった服が入っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ