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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
五話:『纒 慎二』と双子の友人
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(RETYEA`S EYES)

――それは十年前の話。ファルカメスの街のほぼど真ん中にある、あたしの家。

まだ幼かったあたしは、屋敷にいた。

普段と何も変わらない日常、勇者としての訓練。

あたしのパパはもちろん勇者で、いつも剣や魔法を教えてくれた。


そんな日常が変わる出来事が、あの晴れた日に起きたの。

晴れた日の朝、一組のパーティがあたしの家を訪れた。使用人が、玄関で出迎えた。


「ボラウェン様」あたしのパパも、声をかけていた。

それは、勇者『ボラウェン』という男の一行。ボラウェンの旅の仲間には、二人の娘がいた。


「あたしはシアラ、こっちはマリアよ」

シアラとマリア、その二人とはあたしはすぐに打ち解けた。

年が近いこともあったし、勇者の娘という共通点もあったから。

シアラとマリアと仲良くなって、三人でよくあちこちを遊んだ。


ボラウェンが来て、あっという間に七日が経った。

屋敷の庭にいたあたしは、シアラと木刀を持って向かい合う。


黄色い長袖シャツに、黄色の長ズボンという、いつもどおりの修行着を着ていたあたし。

まだ髪がショートだった幼いあたしは、木刀を構えてシアラに対していた。

幼いシアラの格好も、白いシャツに長いズボン。こちらも修行着だ。

長袖のシャツに、長ズボンという姿で木刀を構えていた。

中央にいるのはマリア、まだツインテールではない長い髪を縛ったマリアが審判をしていた。


「いくぞーっ!」

「まだまだっ!」

あたしとシアラが、木刀を振り上げて同時に動く。

中段の構えから突きを繰り出すあたしに対し、シアラが上段の構えから木刀を持ち直す。

シアラは冷静な動きで、あたしの突きを力で受け止めた。

中庭でのあたしとシアラの戦いを、ほぼ真ん中で見守るのはマリア。


「これならっ!」

あたしは間髪入れずに、木刀を引いて下段から振り上げようとした。

しかし、これもシアラに横に避けてかわした。


あたしはさらに木刀を横手に持ち替えて、シアラに斬りかかる。

しかし、彼女の木刀に弾かれて横に流れた。

「甘いわね、コンレイっ!」

「まだまだよ!」あたしはバランスをとって、体を立て直す。

だが、シアラは先に動いていた。


「もらったっ!」

「え、ああっ」シアラは木刀を、あたしの方に切り返してきた。

あたしは木刀で防御に入ろうとしたが、ベコッと頭にシアラの木刀が命中した。


「いったーい!」

「ふっふっふ、これで五十連勝」

「シアラ、強い……」

「二人共、お疲れ様ですわ」

真ん中で戦いを見ていたマリアが、あたしとシアラにタオルを渡してきた。


「うー、全然シアラにも、マリアにも、勝てない……」あたしはタオルで汗を拭く。

「コンレイちゃんは、まだ八歳だから仕方ないですわ」

「そうそう、あたしたちもう十歳だから大人だし」いたずらっぽく笑っていたシアラ。

「むうっ……なによそれ。あたしが十歳になれば、二人になんか負けないんだから!」

「そうなると私たちは、十二歳になってもっと強くなりますわ」マリアに理屈で笑われた。

「なに、それ……全然追いつけないじゃない!」

負けず嫌いのあたしは、納得できずにふてくされた顔を見せた。


「でも、コンレイは強くなるわよ。

剣の腕はまだまだ伸びるし、魔法もちゃんと勉強しているんでしょ。

コンレイは、いい勇者になれると思うわ」

「うん、あたしは勇者になる。そのためにはいっぱい世界を回って、いろんなことを知って……」

「頼もしいですわ」

マリアが褒めて、シアラもあたしの頭を撫でてくれた。

だけど、あたしは知っていた。


「ねえ、また旅に出るの?」

あたしは、顔をしかめて口に出した。

二人は、父でもある勇者ボラウェンと旅をしていた。

その言葉を聞いて、シアラもマリアも顔が曇ってしまう。


「うん、明日昼にはファルカメスを出るって……」

「私は、コンレイと別れたくないですわ」マリアが、悲しそうな顔を見せた。

「あたしもだよ、コンレイ……」シアラも、あたしを抱きしめていた。

この事実は、それでも変わらない。ボラウェンは、旅をしていた。

アルカンテを救うために、彼は一人の賢者に会う旅をしていることを聞かされていた。

そんなあたしは、あることを考えついた。


「ねえ……今日の夜、屋敷の外に出て行かない?」

「夜?夜は子供が外出したら危ないと、言われていますわ」

「コンレイ、何かあるの?」

マリアはしっかりとしているが、シアラは興味を示していた。


「あたしが、すごく気にいったとっておきの場所があるんだけど。

どうしても、二人にも見て欲しいなって」

「わー、何?すごく楽しみ」

「まあ、ちょっとだけなら大丈夫ですわ」シアラは嬉しそうに喜び、マリアも興味を示した。

「じゃあ、ご飯食べたら屋敷の裏口に来て。そこで……」

あたしたちは、シアラとマリアが旅立つ前の日の夜に屋敷を抜け出す計画を立てていた。



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