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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
五話:『纒 慎二』と双子の友人
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宿に戻った俺は、一つの部屋に来ていた。

部屋にはレティアが待っていた。腰や膝などいくつか包帯が巻かれているが、ちゃんと椅子に座っていた。


椅子の前にあるランタンの明かりで、彼女はいつもどおりの元気な顔を見せていた。

頬や足の湿布らしきものは、全て取れていた。

いつもどおりのあの金ピカのビキニ鎧を、身にまとっていた。

ちなみに看病をしていたサラは、隣の部屋で眠っているようだ。


「大丈夫なのか?レティア」

「ええ、これもサラの看護のおかげよ」

「さすがっす。レティア様は、回復するのが早いっすね」

「当然よ!」ベッドに座ったノニールにおだてられて、胸を張ったレティア。


「だが、すまなかったわ。マトイ……あなたに任せてしまって」

素直にレティアが、俺に頭を下げてきた。


「気にするな、俺もちょうど暇だったし」

「それでもこれは、勇者としての問題だからよ。それより、服はどうしたの?」

「ああ、いや……そのマリアのところに」

「マリア……マリアに、会ったの?ここの勇者に?」

驚いた顔でレティアが、俺に詰め寄った。


「ああ、会った」

「レティア様、僕らはマリア様とシアラ様の両方に会いました。

いずれもレティア様が、危惧していた通りです」ノニールが補足した。

「そうか、二人に会ったのね……ねえ、マトイ」

「なんだ?」レティアが落ち着いた様子で、俺の方を向く。

「あの二人を見て、あなたはどう思うの?」

「なんで俺にそれを聞く?」

「あなただから聞くのよ。勇者の一族と、なんのしがらみのないマトイだからこそ聞くの」

静かにレティアは、俺の言葉を待っているようだ。

隣のノニールもまた、目を細めて俺の様子を伺っていた。


「はあ。レティアは、俺に面白い事を尋ねてくるのだな」

「勇者であるあたしは、身を持って知っているわ。勇者という世界は、閉じられた世界なのを。

世間とはズレがあり、見え方が違う世界なのを」

「閉じられた世界ねぇ、その言葉は当たっていると思うぞ。

勇者って、はっきり言って貴族みたいなものだろ」

「そうね。勇者はかつて魔王を倒した英雄だから、祭り上げられるものよ。

世界には、勇者が国を建てた話もあるそうよ。

勇者一人を育てるのに莫大なお金もかかるし、それだけ多くの人も動く。

あたしから言わせてもらえば、そんなものが馬鹿らしいものよ。平和な時の勇者ほど、滑稽なものはないわ」

「それが嫌で、レティアは旅をしているのか?」

俺の質問に、「それもあったわ」と呟いた。


「それより、あたしはまだ欲しい答えをもらっていないわ。あなたは、どう考えているの?」

「あの二人が、仲良くなるのは難しそうだな。クセがある」

「やっぱりそう思うのね」

「それでも、奴らが言う決闘とかで白黒つくんだろ」

「既に五度、決闘が行われているわ。だけど、まだ決着がついていないわ」

レティアが手を広げて、諦めた様子で話す。


「あの二人の決闘が決着しないのよ。何度も引き分けになるわ。

ルールは知っているはずなのに、双方怪我をして終わってしまう」

「実力拮抗ってやつか」

「それもあるっすが、別の理由っすよ」

ノニールの言葉は、どこか思わせぶりだ。

ベッドに座っていたノニールが、俺に椅子を勧めてきた。


「ねえ、ちょっと長いけど話を聞いてもらえるか?」

「なんだ?」俺は大きな椅子に座った。

「三人の小さな勇者の物語を……」

レティアはそう言いながら、俺の前で語り始めていた。



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