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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
四話:『纒 慎二』と盗賊少女
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裏路地の前に現れたのは、路地に似つかわしくない若い女だ。

目玉を横目にして、さらに向かってきた。

黒いジャケットは、丈が短くて腹筋部分が見えた。長いズボンに、目立つような赤いロンググーツ。


背はサラとレティアの中間ぐらいの身長で、ショートヘアー。

つり目で、凛々しい顔立ち、何より目立つのは背中に背負ったドデカイ斧。

レティア以上に筋肉質で腹筋も綺麗に割れていたマッチョな女が、俺たちを睨むように腕を組んでいた。

いや、俺というよりはクラーを見ていた。


「あら、いたの?クラー」

「来ていたんですか?シアラ様」

「一応、あたしも勇者候補だし……興味はないけど」

クラーとは仲が悪いようだ、どうやら彼女がシアラらしい。


「クラー、あたしにつく気はないかしら?」

「あなたと、手を組むつもりはありません!」

「あら、マリアはどうしようもない子よ。大臣と一緒に寝たそうじゃない」

「根も葉もない噂を、いつまで流しているんですか?」

「嘘なもんですか?大臣と不倫する女狐(めぎつね)マリアを勇者にさせてはいけないわ。

あの子が勇者になってしまったら、勇者の身分が汚れてしまう。前代未聞よ……」

俺とノニールの前で、クラーとシアラが罵り合っていた。

ルデース家の家督問題は、俺には何にも関係ないしな。ただ眺めるだけでしかない。


「あら、お客さんがいたのね。あなたは……アンテルク卿の御子息」

「ノニール・アンテルク。ファルカメスの勇者を、補佐する魔法使いの一族だということは聞いているわ」

「詳しいっすね、そうっす。僕がノニールっす」

ノニールを知っているらしく、シアラが声をかけた。ノニールには、丁寧に挨拶をするシアラ。


「もちろんよ、勇者の一族については勉強しているわ。そんなことよりあなた……

随分変わった格好の獣ね。獣化病ステージ4……ではないようだけど」

「纒 慎二だ。医者サラのボディガードをしていて、勇者レティアの一行でもある」

「レティア?ああ、そうだったわね……自己紹介。

既に知っていると思うけど、あたしはシアラ。シアラ・ルデースよ。

勇者候補……というより次期勇者になる者よ。サインを、してあげようかしら?」

胸を張って、自信たっぷりに言ってきた。なんか強気な態度が、レティアに似ているな。


「あんた、勇者になるんだろ?」

「そうよ、当たり前でしょ!」

「じゃあ、その勇者候補が……妖魔を倒さずに見物か?」

「妖魔はいくら倒しても、根元を倒さないと仕方ないわ。

あたしを勇者に信任してくれれば、今すぐマリアをブッ倒して、勇者になってあげてもいいのよ。

勇者の剣があれば、すぐにこの穴を塞いであげられるのだから」

「嘘をつけ!この暴力女っ!」

クラーが、シアラに対して叫んだ。

シアラは、眉がピクリと動いたが冷静にクラーを見ていた。


「マリアの方が問題でしょ!妻子ある大臣と不倫した勇者を誰が認めるの?

あの子がね、マリアはね、ただあたしの邪魔をしているだけよ。

あの子がいなければ、今頃あたしが勇者になって、あの穴を既に塞いでいたはずだったのよ」

「妖魔を倒さずにか?」俺が口を挟む。

「妖魔をいくら倒しても、穴から出てくる。最終的には『魔王の穴』を、塞がないといけないから」

「そうらしいな」

裏路地にぽっかり空いた穴に、目玉が集まっていた。

シアラが、苦々しく穴を見ていた。こいつも、なんとかしようと考えているんだな。

だが、シアラに向けてダガーを握って身構えたクラー。


「だったら、あなたが降りればいい。

どう見てもシアラ様は、勇者に不適格だ。あなたが乱暴すぎるのは、皆に知られていること。

兵士を暴行した人間が、勇者になるのは間違っているわ!」

クラーはそう言いながら、シアラに向けて短剣を投げつけた。

目にも止まらぬ速さで、二本の短剣をシアラに向けて投げていた。



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