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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
四話:『纒 慎二』と盗賊少女
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酒場の上に、宿屋『黒鉄亭』の客間があった。既にノニールが、チェックインを済ませてあった。

俺とノニールは、客間に酔っ払ったサラを運んでいく。


客間は、トイレ備えつけでベッドと小さなテーブルがあった部屋。

何より個室で、質素ではなく豪華な部屋だ。これがタダなのだから、勇者レティアに感謝せざるを得ない。

窓からは大通りの景色が見えているが、四階なのであまり下の音は聞こえない。

酔っ払ったサラを、部屋にあるベッドに寝かす。


「よくこんないい部屋が、空いていたな」

「ちゃんと四人分、用意してあるっすよ。鍵は渡してあるので、好きに利用してかまわないっすよ」

言いながら、ノニールは文庫本ぐらいの紋章を見せてきた。

その紋章は、龍をモチーフにしている紋章だ。


「勇者の紋章を見せれば、フリーパスっすよ。無論お金は、一切かからないっす」

「なるほど、本当に勇者って便利だな」

「勇者の紋章は、貴重だから盗賊なんかが盗んでなりすましもあるっすから。

ただ本物の勇者は、ちゃんと『勇者の剣』や『勇者の鎧』を持っているっすよ」

「剣や鎧か」昔のゲームで、確かに勇者の剣や鎧があったな。

「そうっす。鎧や剣は、レティア様が持っているっすよ」

「そうか……」あの鎧か、金色のビキニのような派手な鎧。

レティアもあの鎧に合わせて、胸なんかもを大きくしたのだろうか。


「その剣も、問題の一つっすね」

だが俺がそんな妄想をしている中、ノニールが難しそうな顔で言葉を吐いた。


「勇者の剣が?」

「勇者の剣は、かつて魔王の軍勢と戦うべく勇者が作った武器。

世界各地にある勇者の家柄で、『勇者の剣』は代々守られて引き継がれてきた」

「平和な世界で、なぜ剣を引き継ぐ理由がある?魔王はいないのだろ」

「いや、甘いっすよ。『勇者の剣』は、特別な力を秘めている聖剣っす」

「聖剣?」かっこいい響きだ。

「魔を防ぐ剣、魔王のような邪悪なものに対抗できる唯一の剣。

伝承としては神が与えし剣で、それを使えるのが勇者になるっす」

「おお、そう考えると確かに勇者っぽいぞ!」

「だが、その勇者の剣をめぐって権力争いがあるっすよ」

「どういう意味だ?」

「勇者は代々引き継ぐもので、剣は家に一本だけ。つまり引き継ぐのは一人。

レティア様は一人っ子で、家督争いもなかったですが……ここ『ルデース』家は違う」

『ルデース』、あれどこかで聞いたことある単語だな。


「ルデース家に生まれたのは、双子だったっすよ」

「双子か……その双子が、勇者の座を争っていると?」

「そう、マリア様とシアラ様。

既に勇者としての二人とも資質はあるのですが、『ルデース』家には現在勇者がいない。

これが一つ目の問題っす」

ノニールは、難しい顔を見せていた。


「で、二つ目はこの国の問題っす」

「国の問題?」

「先ほど話した、内乱ともつながるところっすね。

アルカンテは王国というのは、港も近くにあって城も建っているっす。

一般的に港に城が建っている国は、外交が上手くいっている国といえるけど……」

「周りの国は、そうとは限らない」

「そうっすね。だからアルカンテは生きる道として、高い交渉能力で独立自治を確立したっす。

簡単に言えば、他国の貴族を大量に受け入れて人質を取ったというのが正しいっすね。

従って、その代償に内務に負荷がかかるとしたら?」

「内務?俺は政治に詳しくないんだけど」

「要はこの国の政治に、不満を持っている人がいっぱいいるってことっす。

不満のある人たちは反乱を起こしていて、反乱軍(レジスタンス)を結束しているっすよ」

「反乱軍ねえ……」俺はイマイチ判断できない。


「反乱軍は何度か鎮圧されているけど、規模も大きくなっているっす。

国も動向を気にしているが、一般市民は貴族に不満が募るばかりっす」

「不満?税金とかか」

「おお、さすがっすね。アルカンテの税金は、こう見えてかなり高いっす。

政治自体では貴族中心で腐敗も多く、都市の内部はボロボロっす。

外交に長けている利点もあるから、他国から援軍が来ることもあるっすが……」

「そういう社会情勢ってことか、理解した」

税金が高いのは嫌だが、反乱軍とは関わりたくない。

モノを買う時は、気をつけないとないけない。


「二つはわかったが、もう一個あるんだよな」

「うん、これなんすが……」

ノニールが喋ろうとしたとき、部屋の外でドタドタと走る音が聞こえた。

その足音が止まると、俺たちの部屋のドアが強くノックされた。


「すまない。ここは、レティア勇者御一行の部屋か?」聞いたことのない男の声だ。

「はい、そうっすが……」ノニールが反応して、ドアを開けた。

「下に来てください、レティア様が大怪我をして……」

ドア越しで大きな声を聞いた瞬間、眠っているサラが体を起こした。

酔っ払った様子はなく、顔もあまり赤くない。


「何か……あったのですか?」

頭痛がするサラは頭を押さえて、ぼんやりとした目で俺たちを見ていた。



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