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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
三十九話:『纒 慎二』と呪われた大陸
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十分後、俺たちは走っていた。

黒い荒野を、鎧を着たまま走っていた。

俺と、勇者セイツと、そしてクローデの三人だ。

後ろには、茶褐色の翼を生やした人間。いやそれは魔族だ。


「逃げろ、逃げろ!」

魔族は空を飛んでいる、右手には黒い球を持っていた。

エネルギー弾を、俺たちに放ってきた。


「くっ!」

黒い球が、俺たちの後ろで爆発をした。

走りながら、それをよけるだけでいっぱいだ。

仲間の兵士は、既に魔族にやられていた。


「町はまだか?」

「セイツ様……」

「この魔族には勝てない」

あきらめた様子で、勇者が言い放った。

俺たちの前には、円形の壁が見えてきた。


「もうすぐですよ」

「……」俺と一緒に走っているセイツの顔が、元気はなかった。

頭に包帯も、雑だけどまかれていた。

疲れた様子で、くたびれたかの勇者。

俺たちとトロンダールの町まで、あと数百メートルだ。

だけど、魔族との距離も徐々に詰まっていた。


「追いついてくるぞ、魔族か」

「邪魔するな」空を飛ぶ魔族は、魔法を繰り出す。

その魔法弾は、大きなエネルギー弾だ。

まがまがしいエネルギー弾を俺たちに向けて放つ。


「だめだ、奴らの魔法が早い」

魔族の詠唱は早い、俺たちがたどり着く前に魔法が完成してしまう。

魔族は、トロンダールの壁の方に魔法を放つつもりだ。

すると、クローデはおもむろに振り返った。足を止めたクローデに俺は足を止めた。


「アントン、先に行け!」叫ぶクローデ。

「なんだよ、クローデ」

「いいから、勇者様を頼む」

俺はクローデに言おうとしたが、魔族が魔法の詠唱を続けた。

俺のそばでは、勇者セイツがトロンダールの方に走る足を緩めない。


「くっ、勇者!」

俺は勇者セイツを追いかけて、走り出した。

理解していた、このままいけば三人とも死んでしまう。

助かるには、一人犠牲になるしかない。


そのために、俺は前を向いて走るしかなかった。

クローデの思いを、無駄にしないようにするために。


門に滑り込むように、飛び込んだ勇者セイツと俺。

それとほぼ同時に爆発の音が聞こえた。

強い爆風の後、トロンダールの門は無常に閉められた。


「クローデ!」俺は門の中で叫んだ。

その俺の隣では、傷だらけの勇者セイツがうつむいていた。


「セイツ様……どういうことですか?」

まもなくして俺たちのそばに守備兵が、声をかけてきた。

浮かない顔のセイツは、唇をかみしめて首を横に振った。


「調査団は、全滅した」

それが逃げ出してきた勇者が、つぶやいた初めての言葉だった――



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