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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
三話:『纒 慎二』と獣協会
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時間帯が夕方に近いが、テントの外は晴れていた。

のどかな農村で、俺とサラがテントから出ていた。

俺とサラを待っていたのは、中央に三人いた。レティアとノニールとダッツだ。

そのほかにも見送りなのか、村民が何人か集まっていた。


「遅いわよ」レティアが俺に悪態をつく。

「悪い、サラの支度が手間を取って……」

「そう、それなら仕方ないけど」

レティアは俺には文句言うのに、サラだとお咎め無しかよ。

これは、明らかな勇者様の差別だろう。


「お待たせしました。あとダッツさん。前も渡しましたけど」

「いつも、すまない」サラが、ダッツに薬を手渡していた。

「私の後には、アカデミーの方から医者が二日後に来る予定ですから。

あとはそちらから、薬をもらってくださいね」サラの笑顔に、ダッツは頷いていた。


「サラちゃん、いなくなっちゃうのは寂しいねぇ」

「サラちゃん、本当にありがとうね。これはお菓子」

ギャラリーとしていた老人たちが、サラにお礼を言っていた。

婆さんから菓子の袋をもらい、子供っぽく笑ってみせたサラ。


「ありがとう、おばあちゃん。胃腸が弱いんだから、暴飲暴食はダメですよ」

声をかけてくる人に対し、丁寧にひとりひとりにお礼と、医者的アドバイスをするサラ。

サラもこの村で、医者として頑張っていたんだよな。

サラに感謝を言う老人たちを眺める俺に、ダッツが近づいてきた。


「兄貴、二度目ですが……お元気で」

「ああ、そうだな。今度こそ、元気でな」

俺とダッツは互いに、拳を合わせて挨拶をした。

ダッツは酒場の翌日から、あの山小屋に戻っていた。

あそこが、本当のダッツの家だしな。そのダッツは、サラが処方した薬を持っていた。


「勇者様、この村を救っていただいてありがとうございます」

「いえ、そんな……」レティアは村長の老人に腰を曲げて、手を取って感謝の言葉を受け取っていた。

あれこの村長、レティアの胸のあたりをジロジロ見ているようだが。

レティアも気づいているようだけど、あまり気にしていないようだ。

相変わらずのビキニ鎧のレティアは、よそ行きの顔でお礼の言葉を受けていた。


「それじゃあ、名残惜しくなっちゃいますし、出発するっすよ」

「そうね、行きましょ。アスカンテへ!」

レティアを先頭に、ノニールと俺とサラがそれに続く。

村人は、去りゆく俺たちに感謝の声を上げていた。


「元気でねー!」

「勇者様の旅に、幸あれっ!」

「兄貴っ!ご無事で!」

それぞれの声を受けながら、俺たちは辺境『ラナジー村』を旅立った。

マント姿の俺はレティア勇者御一行となって、村を出て行った。

しばらく、歓声を浴びながら俺たちは村を出たのだ。

相変わらず、村を出てすぐは森の中。

営業スマイルを終えたレティアが、疲れたように険しい顔に変わった。


「あのエロじじい、相変わらず胸ばっかり見て」

「早速、愚痴かよ」先頭のレティアは、村が見えなくなるとすぐに愚痴を言う。

まあ、気持ちはわからないでもないが。


「でも、レティアさん」

「なによ?」

「やはりまだ追いかけていたのですね」

「ええ、そうよ。あたしの全てを失ったもの」

サラの言葉に、レティアは悔しそうな顔を見せた。


「『獣協会』を、追いかけないとね。ラオルの本体を突き止めるわ」

「レティアさん、がんばりましょー、おー!」二人はやはり意気投合をしていた。

声を合わせて、二人だけで盛り上がるとレティアが険しい顔を見せた。


「男子勢は、盛り上がりに欠けるわね」

「はいはい」

「まあ、気楽にいくっす!」

俺はやはり無関心に、ノニールは気楽そうに笑顔で手を挙げていた。

かくしてレティア一行は、首都アルカンテを目指すことになった。



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