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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
三話:『纒 慎二』と獣協会
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043

「私……行きたひ……れす」

テーブルを挟んだサラの顔が、真っ赤だ。

口にした彼女の言葉は、呂律(ろれつ)が回っていないというか変な喋り方だ。


「ちょっと、サラ……」

「私……はルカンテに……行かなひと……」

顔の赤いサラは身を乗り出したかと思うと、テーブルに伏せるようにバタッと倒れていた。

そのまま、スースーと小さくいびきをかいて眠っていた。幸せそうな赤い顔で。


「あらあら、麦酒(エール)の飲みすぎっすよ」

「麦酒?」

「これっす、お酒っすね」ノニールが、自分のグラスに入っている茶色の液体を見せてきた。

やっぱり、あれは酒だったのか。

「あら?サラはもしかして麦酒、飲んでいたの?」

レティアは気持ちよく眠るサラの長い髪を撫でていた。


「マトイ君は、どうするっすか?」

「このまま、今日はテントに戻る。サラも酔っ払ったしな」

「あたしたちの旅の方よ!どうするの?」

「サラと一緒だよ、アルカンテ……だっけ?

サラも行きたがっているみたいだし、俺には否定する理由がない」

俺はそう言いながら、サラの酔っ払った体を引きずった。

すると目をつぶったままのサラが、大きな体の俺に寄りかかってきた。


「アルカンテは、この国の首都よ。あなた、そんなことも知らないの?」

「そうか、済まないな。いろいろと記憶が曖昧だからな」

「まあ、仕方ないわね。魔力も回復させたいから出発は二、三日後以降になると思うけど」

「いいじゃないか、サラにもう一度ちゃんと話してみるよ」

俺は、横で眠る小さな医者に肩を貸していた。


「レティアは、アルカンテに何か用でもあるのか?」

「あたしは約束かしら」レティアが意味深な言葉を返した。

「約束?」

「そう、約束」

「レティア様、僕にも約束の内容を言ってくれないっすよ」

手をバタバタ振りながらノニールが、酸っぱく口を挟んでいた。


「当たり前でしょ、約束を話す訳にはいかないんだから」

「ふーん、まあ俺には興味ないからな。むしろどんな都市か、知りたいぐらいだ」

「実はあたしもノニールも行ったことないし、逆にそういうところが冒険ぽくていいじゃない」

「そういうもんかね」

勇者が冒険とか口にすると、なんか説得力がある。

レティアも一応勇者だし、好奇心旺盛な女だろう。


「そういや、報酬はどうなるんだ?」

「そうね、それに関しては村長に貰ってからになるわね」

「そうか、明日は一緒に俺も行くのか?」

「当たり前でしょ、明日はアジトの調査もあるから」

「また、俺を使うのかよ」

レティアの人使いの荒さは、かなりのものだ。

両手を広げて、俺は呆れていた。


「まあまあ、それはそうとして今日は終わりっすか?」

「サラも潰れたし、今日はお開きだろうな」

「まあ、仕方ないわね。あたしの隣も寝ちゃったみたいだし」

レティアの隣にいた男もまた、顔を赤くして眠っていた。シェイゾだったかな。

慣れた手つきでレティアが、酔っ払ったシェイゾの肩を貸していた。


「じゃあ会計を、済ませてくるっす」ノニールが、そそくさと会計のほうに向かっていく。

こういう細かい作業は、彼は得意なのだろう。


「サラさん、寝ているのか?」ダッツが俺に声をかけた。

「マトイさん……私を置いて行かな……」

俺の隣では、嬉しそうな顔で寝言を言う女医者の姿があった。



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