表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
三話:『纒 慎二』と獣協会
42/639

042

あの時、俺が拾った赤い固形物がた俺の手のひらにあった。

それを、この酒場の一席で見せていた。

そこに、レティアやノニールが覗き込んでみた。


「確かに、魔術的なものではないっすね」

「これは、薬じゃないかしら」

ノニールとレティアが、それぞれ答えた。無論隣にいたシェイゾも、全く知らない。


「サラは、これが何かわかるか?」

「これ、薬ですね」サラが答えた。

「薬はわかるけど、ラオルのローブの中から出てきたんだ」

「他にも何粒かあります?」

「残念ながら、これ一粒だけだ」

「なるほど……残念ながらわかりませんね」

「そうか、仕方ないな」

「研究機関に、渡したほうがいいですね。大学とか、大病院とか、薬学研究所とかはこの辺りにありませんが……」

「そうだな、とりあえずサラにこれは渡しておくよ」

俺はサラに、赤い薬を手渡していた。

サラは大事そうに、茶色の袋に入れていた。


「ダッツは、帰ったのにわざわざ戻ったのに助けてくれたのか」

「ああ、兄貴のピンチだと思って助けに来ました」

「サラ、なんか変な事を言ったか?」

「いえ、特には……何も」

否定をしながらも、口元をなぜか上品に抑えていたサラ。

サラの顔色が少し赤いのは、気のせいだろうか。


「でも、助かったよ。ありがとう」

「兄貴こそ、無事でなによりっす」

「ダッツは結局、向こうで暮らすのか?」

「ああ、やっぱり向こうで暮らす。ずっと決めたことだ。

あいつも、俺がいなくなると嫌がるしな」

「そうですね……ダッツさん。本当に、ありがとうございました」

サラも、ダッツに感謝の言葉を述べていた。

照れくさそうに、ダッツが狼頭をかいていた。


「本当に助かったわ、あたしたちもあのまま……」

「いやあ、こんなに感謝されるとは俺は、俺は……」

酒の力で泣き出し始めたダッツ、狼の目にも涙だ。

照れくさそうに、感謝されるダッツ。少し俺が見ても羨ましく思えた。


「それより、マトイ君。一つ、お願いあるっすよ」ノニールが、不意に俺に話しかけてきた。

「俺に?」俺が自分の顔を指さした。

ノニールの隣で、レティアがモジモジしていた。

彼女が、ノニールに言わせているのだろうか。


「マトイ君、僕らのパーティに入らないっすか?」

「パーティ、この後もってか?」

「そうっす!今、勇者レティア一行は絶賛メンバー募集中っす」

「ま、マジですか?兄貴、やったですね」

そばにいたダッツが、俺をなぜか祝福しているようだ。

だけど俺は、隣のサラをちらりと見ていた。そのまま、難しい顔をしていた。


「そうは言ってもな。俺は、あまりサラと離れるわけには……な」

俺は言葉を濁した。一緒になったサラを、置いてどこかに行くつもりはない。今日のこともあったし。

不機嫌そうな顔でサラは隣で、さっきから顔を赤くしてビールっぽいものを飲んでいるが。


「もちろんサラさんも、一緒にどうっすか?」軽いノリでノニールが、声をかけた。

「レティアは、どこを……目指している?」サラが口を出す。彼女は、顔がかなり赤くなっていた。

「あたしたち、具体的に決まっていないけど……地図的にはアルカンテね……」

レティアの一言を聞くと、サラは空になったグラスをドンと置いていた。

少し赤くなった顔で、サラはじっとレティアの方に身を乗り出していた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ