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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
三話:『纒 慎二』と獣協会
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039

ラオルの下品な高笑いが聞こえて、洞窟の狭い空間に響く。

レティアは意を決っして、金色の胸当てを外していた。

彼女の小さくはない胸があらわになったところを、腕で恥じらうように隠していた。

顔を赤くして、レティアがラオルを睨んでいた。


「はははっ、それでいい。勇者よ、そのか弱き体を晒すがいい」

ラオルの高笑いの前に、レティアの背中が小さい。

俺は黒い魔法の触手みたいなので、縛られていた。


「しかし勇者は本当に弱い。人質がいると、何もできない。

守るものも多い勇者とは、なんと弱いのだろうか」

「魔法さえ……使えれば」

唇を噛み締めたレティアは、魔力を失っていた。魔法が使えない。そのことをラオルは知っているようだ。

離れたところに、人質の女とそれを囲っている狼男。

人質の女は、申し訳なさそうにレティアを直視できない。

地面には、レティアの剣と盾と鎧が落ちていた。


「どうした?まだお前の鎧は残っておるぞ」

「……わかっているわよ」葛藤と苦悩の表情を浮かべた彼女の胸は、両腕で隠していた。

鎧を外そうと脱いでしまうと、胸が見えてしまう。


「なあ、あんた趣味は最悪だな」縛られた俺が、声をかけていた。

「何を言う?勝者の特権だ!敗者を……弱者をどうしようが、我の勝手よ」

「そういうもんかね?」ラオルの趣味には、嫌悪感しかない。

裸の女をいじめて、しかも人質までとって。

レティアは、それでも逃げたりしない。毅然とした態度で、ラオルをじっと見ていた。


レティアの右手を、ゆっくりと自分のスカートに伸ばしていく。

左腕は胸を隠しつつも、手を伸ばしていく。片手でスカートを脱ごうとするが、脱ぎにくいようだ。


「そろそろ回収するか、勇者の剣と鎧を」

パチンとラオルが指を鳴らす。手下を呼ぶ合図だ。

しかし、反応がない。


「どうした?」

だが俺は、奥の通路から何かが光ったのが見えた。

それは、鉄の矢先だ。光った鉄がそのまま、赤い狼男の背中に当たった。

「グエエッ」突然赤い狼男の背中に、矢が刺さっていた。苦しみの声を上げて、女を離してしまう。

「どうした?」ラオルが後ろを振り返ると、奥には一人の人間が弓を構えて立っていた。

しかし俺のいる場所から、その人間の姿が見えない。


「おい、その女を離すな!」ラオルが叫ぶ。

「なんかチャンスらしい」俺は体に力を込めた。

体を黒くて太い触手が、俺の体を縛っていた。

それでも俺は必死に腕に力を込めて、黒い触手を簡単にちぎった。


「す、素晴らしい。我の魔法を一瞬で……」ラオルが、完成にも驚きにも似た声を上げた。

体の自由を得た俺は、頭の中でコマンドを探す。


(ここは、このコマンド使うしかないよな)

俺は右足を踏み出すと、俺の巨体が一気に地面と水平に飛んでいく。


「破られた……ゴフッ」俺の巨体が、ラオルの腹に命中した。

俺の《ずつき》で、ラオルはゴロゴロと転がって部屋の狭い壁に激突。

バランスを取るように前転をした俺は、体を前に運んでジャンプ。

倒れたラオルの上に、グリゴンの俺が馬乗りになった。


「マウントだ」

「お、くそっ、だがまだ人質は……」

「人質は、全員解放しましたよ」

それは、通路の奥から聞こえるのは可愛い女の声。

その声に、俺ははっきり聞き覚えがあった。


「サラ!」奥の通路から出てきたのは、サラだ。

「兄貴、俺もいるっスよ」

サラの隣には狼頭をしたダッツが、赤い狼男に向けて弓を構えて立っていた。

赤い狼男は、背中の矢を抜いてダッツを見ていた。


「あ、あれ……」驚いたのは俺だけじゃない。

部屋のほぼ中央には、ラオルに言われるがまま鎧を脱いでいたレティアがいた。

上半身裸で、胸を隠すように手で押さえていた。


「れ、レティアさん!どうして裸ですか?」サラも驚いていた。

「あわっ、こっち……見るなっ!」レティアは、顔を赤くしてその場にしゃがむ。


「どうしてだ?この我の……邪魔をするとは『獣の子』よ」

ラオルが、俺をじっと見ながらも口元を動かす。魔法を詠唱して、切り抜けるつもりだ。

「俺が悪かった」

「そうか……獣の子よ。観念したか」

「あの時、俺は完全にお前を倒さなかったことが悪かったのだと」

俺は迷うことなくラオルの顔に、強烈な《たたく》をお見舞いしていた。



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