表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
一話:『纒 慎二』とグリゴン
15/639

015

サラと出会ってから二日が経過した。

二日たった現在も、まだこの森を抜けられない。

森の名前は、『サンバ大森林』という話も、サラが教えてくれた。

かなり大きな大森林は、横断するにも七日ほどかかると言われていた。


現在は、ダッツを助けた丸太小屋にいた。

テーブルを囲みながら、俺とサラは何気ない話を交わしていた。


仲間になった俺とサラは、お互いの事をいろいろ話した。

旅をするパートナーとして、知るべき情報は互いにとっても必要だった。

だがそれ以上に、俺は情報を手に入れるチャンスだった。


この世界は、異世界だ。俺の住んでいる世界と違う。

いろいろ俺が見聞きした結果、魔法も剣もあるファンタジーの世界だとわかった。

だけど、ファンタジーの世界にありがちな悪魔とか魔王とかそういった存在はないとサラが言っていた。

神話の歴史でかつていた程度で、今はそういう存在のない平和な世界。


俺にこの世界のことを教えてくれた、彼女(サラ)の話をしよう。

サラ・バリジャット、性別は女。旅医者と言う職業で、しばらく一人で旅をしていた。

仲間はいたのだが、いつの間にかいなくなったらしい。

ちなみにサラは、魔法が使えないし、剣士のような強さもない。

見た目が童顔で、小さな女の子の一人旅は余りにも危険だが大丈夫なのだろうかと心配してしまうほどだ。


彼女の現在の目的は、サンバ大森林を抜けてアルカンテという都市を目指していた。

これらも、すべてサラから聞いた情報だ。


「その『アルカンテ』というのは、大都市なんだよな」

「はい、届け物もあるのでそこを目指しています。

特別急ぎというのでは、ないのですが……」

「なるほど、『アルカンテ』か」

マントを脱いで、俺は茶色の毛皮をむき出しにしていた。


「私はこれでも医者だから、病に苦しむ人がいれば救いたいです」

「だからダッツも、救ったんだな」

「はい」迷いなくサラは、答えていた。幼き顔はとても可愛く、純粋無垢だ。

サラもまた、白いコートを脱いでいた。暖炉の近くで、濡れたコートを乾かしていた。

薄手のワンピース姿で、長い髪のサラが大きな瞳で俺を見ていた。


「どうした?」

「マトイさんって、話し方から言って三十歳代だと思っていましたけど……」

「三十歳って、俺はおっさんか?俺はまだ十九だ」

「私とは、一個しか変わらないのが意外です!」

「全くだ。サラが、十八歳には全く見えないが」

「それって、やっぱり体ですか?」

俺の言葉に、サラは白いワンピースの胸のあたりをじーっと見ていた。

白いワンピースの胸元は、貧乳なのがよくわかった。姉貴の胸を見ているが、ずっと小さい。

身長や体格の発育は悪いし、背も小さくて顔も童顔だ。

十八という年齢より、下手したら小学生の女の子に見えないことも無い。


「あの……そんなに私は、子供っぽいですか?」

「いや、そういうわけじゃなくて……」

「私は子供じゃないですよ、十八歳の立派なお姉さんです!」

「う、うん!」特にこのふてくされる姿が、中学生……いや小学生にしか見えない。

「よろしい」サラは小さな胸を張って、笑顔を見せていた。


「それにしても、狼男(ダッツ)は大丈夫なのか?」

狼男のダッツが、俺の一撃を食らって気を失ってから二時間が経過した。


「ママ特製の薬を飲ませているので、しっかりと眠ってもらっていますからね」

「薬には、睡眠の副作用もあるのか?」

「ええ。精神の安定には、時間かかりますからね。

精神が安定しなければ、何らかの外からの干渉があればダッツさんは再び襲って来るかもしれません」

「そうか……」赤い目を光らせて、ダッツが襲ってきた光景はまさに獣だ。

どんなに大きな相手でも、どんなに強い相手にも怯まない。

椅子に座ったままサラが、リビングの窓の外を覗いていた。

まだ、雨は降っているようで外は暗い。


「とりあえず、雨が上がったら移動しましょうか」

「眠っているダッツは、どうする?」

「マトイさんなら、背負えますか?」

サラの質問に、俺は自分の顔を指さした。


「背負えなくはないと思う」力には自信があった。なにせこのグリゴンの体は、タフで怪力だ。

大人一人を背負うことは、問題ないだろう。


「ではお願いします」

「サラ、やっぱり救う気か?」

「当たり前ですよ!村に着いたら、彼に合った薬も調合できますし。

ここには使えない機器もあって……」

「一ついいか?」

「なんですか?」

目が細い俺の声のトーンを感じ取ったのか、サラが真剣な顔で俺に向き合う。

こういうところは、サラという女が医者である要素なのだろう。


「なぜ、お前はダッツを救おうとする?

ダッツは……あいつは人を殺して、懺悔をして、死を望んでいた」

「マトイさんも、そんなに悲しい事を言うのですか?」

サラはその言葉をつぶやきながら、悲しそうな顔に変わっていた。


「俺も救ってもらっておいて、こんなことを言う資格はないのだけど。

でも、それでも随分お人好しすぎないか?」

「それは、私が医者だからですよ」

真剣な顔になったサラは、静かに話し始めていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ