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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
八話:『纒 慎二』と潜入作業
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サラは内科も、外科もできる万能医師である。

病気の治療もできれば、骨折も治せてしまう。

ファンタジーのこの世界では、医者に求められるものが多いのかもしれない。

そもそも魔法もある世界で、医者がどういう価値を持っているかわからない。

分からないが、行く先行く先でやはりサラは重宝されて丁寧にもてなされていた。


ともかくサラは今も、手術をしているようだ。

一人ひとりを相手にしながら医者の仕事を、確実にこなしていた。

俺は廊下で怪しそうなやつをじっと観察していた。リュックサックを背負いながら。


「あなたはずっと立っていて、飽きないですか?」話していたのはソーリック。

「俺は、サラのボディガードだしな」

「そうですか、ご苦労様です」

「何もなければ、俺に話しかけるな」

「やはり、君の力はかなり魅力的だ」


ソーリックは、俺の前を阻むように立っていた。

俺は首を横に振って、廊下に並ぶ兵士に目を光らせた。虎男の求愛活動だろうか。


「相変わらず口説くの下手だな、女とかいないだろう」

「自分は既婚者だ」

「そうかよ」虎男はそう言いながら、勝ち誇った咆哮をしてみせた。

挑発か、そう思いながらそれでも相手にはしない。


「君も、獣化して弱者だろう。周りに認められず、苦労しただろう」

「そうかもしれないな」

現実の俺は、ひきこもりだ。あながち間違いではない。


「だとしたら君は、弱者の気持ちが分かるのではないか?」

「獣化した人間が、女を襲っている姿を見て……か?」

「言葉には気をつけて欲しい」

ソーリックの顔が険しくなった。


「君はここにいる、ここが貴族どもに襲撃されれば戦わないといけない。

だとしたら、自分たちとともに戦うのが筋というものではないか?」

「ソーリック様」そんな俺を勧誘中のソーリックに、兵士が近づいてきた。


「どうした?」

「作戦会議の時間が、迫っております」

「わかった」そう言いながら、ソーリックは兵士について行こうとした。

だが、俺の方に振り返っていた。


「そうそう、何か怪しいものを見かけたら声をかけてくれたまえ」

「怪しいもの?」俺はそれを少しだけ心に留めていた。


(鬱陶しい奴が、これでいなくなった)ソーリックの姿が、兵士とともに廊下の奥に消えていく。

俺はそう言いながら、再び見張りを続けるのだった。

そこに、さらに俺の前に新たな珍客が来ていた。



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