チャラスケ
ウチに住み着いた一匹の野良猫。
母親の体調が悪く家からあまり出られない事もあって、母が寂しいだろうとそのまま飼い猫にしてしまった豪胆オヤジ。
初めは警戒心が強く母にしかなついてくれず、ご飯は母からしかもらわないという神経質っぷりを発揮していたこのみぃちゃん。
ある日突然行方不明になったと思ったら20日後に二匹の子猫を連れて帰って来た。
一匹はクロくてトラ模様。
一匹は茶色のトラ模様。
なぜこの2匹だけだったのかはわからないけど、みぃちゃんはその後すぐウチを出て行ってしまった……。
最初はすぐ帰ってくると思っていたけど、1週間たち…2週間しても帰ってこなかった……
たぶん見られたくなかったんだと思う。
残った二匹をどうしようか?
悩んでいた時オヤジがどちらか一匹は友達にあげるから決めておけと言う。
こっちはどっちも可愛くて手放したくないのに…。それでもウチには病気の母しかいないから余裕なんてなかった。
とりあえず名前を付けた。
黒いトラ猫には[小次郎]。俺の名前をもじって付けた。
茶色のトラ猫は……茶でトラ……チャトラ……チャラ……チャラスケ。
母猫の分も生きるんだというようにしっかりと食べてすくすくと成長していった。
そして三か月後、小次郎はもらわれていった。
残ったのはチャラスケのみ。
実はこのチャラスケ、子猫の時は凄く甘えん坊で凄く大人しい子だったんだけど、大きくなって成猫になった途端、近所の家ネコさんたちも恐れるボス猫になっていました。
昼間はずっと外にいて近所のネコ達と一緒にいる。
でも夜はちゃんと帰ってきて布団に潜り込んでくる。
そんな猫だったんです……。
それまでも数多くのねこを自分が小さい時から飼ってきましたが、そのほとんどが自分の生の長さを悟ったかのようにある日突然出て行って帰ってこなくなりました。
このチャラスケは違う。亡くなる前日に夜外出していきました。
そして次の日の朝、まだ家族が家にいる時間に帰ってきて、家族一人一人の布団の中に入って行って少しずつでも一緒に寝ていました。今でもあの時の事をみんなで話すと不思議だねぇって笑って話します。
最後に入ってきたのが自分の布団。
自分はまだ高校生でしたが。あったかい毛に包まれながら朝まで寝ていたのを思い出します。
そしてチャラスケはみんなが起きたのを顔をぐるっと見回して確認すると――。
「にゃぉ~~ん」
と、一言だけ鳴いてばったりとその場に倒れ込みました。
普通じゃないと悟った自分が最初にチャラスケに触った時にはもう…息をしてなかった。
学校に行く前の出来事……。
哀しくて……切なくて……離れたくなくて泣きました。
それからウチの近くにある林の中をしっかりと刈りこみ、そこにみんなで寝かせてあげました。
それがチャラスケとのお別れです。
そして今――。
あれから30年がたっても自分の財布の中にはチャラスケの写真が入っています。
見るたびに思っていました。
「お前をモデルに物語を書いてやるからな」って。
それが[にゃんライフ]
頭の中ではまだチャラスケは生きてます。
この心の中にも……。
心からの愛猫チャラスケにこの物語を捧ぐ。
心情です。




