目覚めた先
投稿が不定期で申し訳ございません!
第6話をお楽しみください!
「つつつ………ッここは?」
水間の視界に飛び込んだのは辺り一面に生えた木であった。
どういうわけか、彼が目覚めた場所は先程いた道ではなく林のような場所に倒れていたようだ。
「ここは…まったくと言っていいほど見覚えがない」
水間はポケットに入れている携帯を取り出そうとする。
「…熱ッ!!」
あまりの熱さに携帯を放り出す。
見ると携帯は煙をあげ、遂には発火してしまった。
「嗚呼ッ!俺の携帯が!!と、取り敢えず火を消さないと!」
水間はそう言うと、発火した携帯に近付きさっと拾い上げると両手で上下から押さえ込んだ。
水間は苦悶の表情を浮かべながらも、その状態で数十秒経過した後、手を離した。
見ると、携帯の発火は治まっており周りには水滴らしきものが付着している。
「ふぅ…こういう時にこの能力は便利だよな」
少し落ち着きを取り戻し、再度辺りを見渡す。
やはりこれと言って目ぼしい物は見つからず、辺り一面木々が生い茂っており視界を遮られている。
「どうしよう…携帯が壊れてしまった以上連絡も取れないし、困ったな」
水間は少し考えた後、木々の間を通り抜けて行った。
いくら歩いても視界は広がらず、同じような風景を前に水間は焦りを感じていた。
(どうしよう…このまま帰れなかったら色々と面倒だな)
ふと、横を見ると木々の間に人影が映った。
水間は立ち止まり、その方向を凝視する。
正確には分からないが、確かにそこには人型の動物がいる事を確認出来た。
(地獄で仏とはまさにこの事か!ここを抜ける術がない以上、あれに縋る他はない!)
水間は視線の方向に体を向け、歩み出す。
しばらくしてそこに辿り着くと、そこには先程の青年がこちらをみて驚いていた。
「な、なんださっきの襲われた人か」
「驚いた…てっきり野生動物が襲いかかってきたかと思ったよ…」
「ははっ、それはすまなかった…ところでここはどこか分かるか?」
「ここかい?ここは……君の墓場だよ♪」
そう言うと青年はナイフを取り出して水間に襲いかかる。
「危なっ!いきなりなにするんだ!」
水間は距離を置いて問いかける
「なに?何って…刺し殺す?」
青年は疑問の表情で答える
「ふ、ふざけんな!俺はお前なんかにやられねぇよ!」
そう叫ぶと、青年に背を向けて全速力で逃げ去った。
「ははっ…方向音痴の君がここから逃げられるとでも?」
青年はそう呟いて、水間の後を追いかける。