不審者
3ヶ月以上放置してしまい申し訳有りません!!!決して忘れていたわけではないんですよ!
「よし…たまごを無事確保っと。これでお嬢様の指令は完了だ…帰るとするか」
スーパーから出てきた水間はそう呟きながら手に先ほど買ったたまごをぶら下げて、元来た道へと歩いて行った。
天気は晴天、まだ7月の上旬だというのに本日の気温は36度を超えていた。
「何だってこんなに暑いんだよ…早く帰らないとたまご腐るかな?」
そう言ってとぼとぼ歩いている水間の耳にこんな会話が耳に入る。
「……この辺に出るんですって、例の不審者!」
「えぇ!何でもこんな暑い日にもかかわらず、黒いフードを被って道行く人たちの顔を覗き込んでいるらしいわよ!何でも…人を探しているみたいに……」
「実際に襲われそうになった方もいらっしゃるとか…!」
「まぁ怖い!最近物騒だわね」
(何だそのあからさまに怪しい格好の不審者は…そんな奴、すぐに捕まるだろ…)
そう思いながら歩いている水間の足が止まる。
(待てよ…何で捕まっていないんだ?さっきの話を聞く限りじゃあかなり有名じゃないか。そんな事態なら自警団が黙っているはずないのに…)
そう考え事をしながら歩いている水間に「そこの君っ」と後ろから声がかかる。
水間が後ろを振り向くと、そこには青年が立っていた。
「君、何か思いつめた様に俯いて歩いて…どうしたんだい?僕でよければ相談、もしくは愚痴相手になるよ」
青年は笑顔で水間にそう言った。
「…お気遣いどうも。何でもありませんので私はこれで失礼しま『例の不審者かい?』」
青年はそうハッキリと言った。
「……不審者がどうかしたんですか?」
「あっ!その表情は図星だね?はははっ!君ってば嘘苦手なんだね…」
「……そうですか、あなたがどう思おうが勝手なので私はこれで…」
っと、この場を早く立ち去ろうとする水間に又しても青年から声が入る。
「待ってくれ!君は例の不審者が気になるんだろ!!僕で良ければそいつの事教えるよ!」
そう言い、袖をまくって水間に見せ付ける。
「…っ!?お前その火傷…!」
彼の腕には酷い火傷の跡が付いていた。
「ははっ…僕は例の不審者に襲われてね……少し歩かないかい?話すよ」
そう青年は水間に問う
水間は無言で彼の横に並び、帰路を外れ青年と歩いた。