少女
半年も空いてしまって申し訳ありません!
最新話です!どうぞ!
「……少女?」
クリスは声を発した少女を見る。
体のあちこちには傷跡があり、両手を上にして柱と手錠で固定されている。
「貴方は…誰?……どうやってここに…」
声量から察するに、かなり体力が落ちていると分かる。
クリスはそっと近付き、声を低くして話す。
『俺はクリスだ。ある人物を追ってここまで来た。……君はどうしてこんな所で捕まっているんだ?』
「私……この山で遊んでいたら急に知らない人たちが私を攫って、こんな押し入れに閉じ込められて……」
少女は話しながら震えている。
その行動で、彼女は恐怖し怯えていたであろうことが分かる。
『そうか……それは災難だったな。だがもう大丈夫だ。君を助ける』
そう言ってクリスは襖に手をかける。
「ど……どこに行くの?」
少女は不安そうに問う。
「少し……悪党を懲らしめに行く」
クリスはそう言うと、拾ってきた自動小銃を構えて襖を一気に開けた。
襖を開けた先の空間には黄色い布を巻いた武装人間が2人と、赤い布を巻いた人間が無線機を前にして調整していた。
突然の音にビックリして3人が振り向くが、既に遅かった。
先手を取ることに成功したクリスはまず、黄色い布を持った男に小銃を放った。
ドドドドと轟音を鳴らしながら、武装人間は体に何発もの銃弾を受けて吹き飛び、絶命した。
もう1人の武装人間が銃を構えるが、クリスの方が速かった。
先程と同様に銃を放ち、蜂の巣にされて崩れ落ちる。
あっという間に2人の部下を失った男は戦意喪失。
クリスに銃を向けられて怯えるのみだった。
「今から言う質問に正確に答えろ。分かったな」
クリスは銃を向けながら、男に言う。
男はぶんぶんと首を縦に振る。
「よし……まず1つ目だ。ここで何をしている?」
「ここは通信施設だ……本部と連絡している。」
「本部はどこにある?」
「それは……」
「答えろ」と、クリスは小銃をさらに近づける。
指はトリガーに触れており、いつでも発砲できる。
男は「ヒッ」と声を漏らす。そして答える。
「ほ、本部はこの山のどこかにある…正確な場所は分からない……本当だぞ!」
男は必死に答える。
「そうか……次の質問だ。お前は 草薙浅葱 という女性を知っているか?」
「しらない……だが、本部に行けば何かわかるかもしれない」
「そうか、質問は以上だ。」
「じゃ…じゃあ助けてくれるのか!?」
男は生き残れたと期待しながらクリスに問う。
「あぁ…そうだな」
クリスはそう言うとトリガーを引き、発砲する。
弾丸は男の顔を貫き、一撃で屍と化させた。
「悪いが助ける義理はない。こっちも命がかかっているからな。」
男は無線機に目をやる。
すると、近くに鍵が置いてあることに気づく。
「あの手錠の鍵か?」
クリスは再び押し入れの中に入る。
そこには相変わらず少女が繋がれていた。
「お兄さん……さっきの銃声は…なに?」
「……気にするな。」
クリスはそういいながら、手錠の鍵穴に鍵を差し込む。
鍵はすんなり回り、カチャっと音と共に手首から外れて落ちていく。
両の手が自由になり、少女はクリスに抱きつく。
「怖かった……っ!」
少女は涙目になりながらクリスに抱きついていた。
クリスは安心させるように、頭を撫でる。
しばらくの間、この行動が繰り返されていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「水間ぁ……さっきの音は何?……」
マリアが不安そうに話す。
「銃声…中で何が起こっているんだ?」
4人が不安になって待っていると、家の後ろからクリスと少女が現れた。
「あの少女は誰だ?」
「怪我をしているようだ……」
マリアはその様子を見て飛び出して行った。
「あっ!おいマリア!」
水間がマリアを追いかけて飛び出す。
それに続いて、紫村と大鳥が飛び出した。
「クリスさん!無事でしたか!それにその子は…?」
「あぁ、俺に怪我はない。それと、この子があの小屋で捕まっていて助け出してきた。」
少女はクリスにギュッと抱きついている。
その様子から、大方察することが出来た。
「その子……怪我をしていますね。私に任せてください!」
マリアはそう言うと、彼女の手を握る。
すると、彼女たちの周りを光が包み込んだ。
クリスはその光景に驚き、少女は戸惑っていた。
しばらくすると、異変に気付く。
少女が負っていた怪我が見る見るうちに治っていく。
クリスと少女は驚き、不思議そうに見ている。
「……しかし、いつ見ても凄い能力だよな」
「あぁ……マリアの能力《治癒》には俺も助かっている」
治癒が終了すると、周りを包んでいた光が消えていった。
「ふぅ…もう大丈夫だよ!」
「あっ…ありがとうございます」
少女は照れくさそうにお礼を言う。
それを見て、マリアもニッコリ笑った。
「あー……仲良くなったところ悪いが、お嬢ちゃん。ここは危ないから直ぐに山を降りるんだよ。いいかい?」
少女はうんうんと首を振りながら、クリスに教えて貰った道を走っていった。
少女を見送ると、クリスは4人に振り向いて話し出す。
「この山のどこかに奴らの本部を見つけた。今からそこを探そうと思う。」
「あぁ、分かったよ。」
水間達はそう答えて、また山の中を探索していくのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ジジジジジジジジ………
どこかで無線の音がする。
「クリスを見つけたわ。えぇ、分かってる。」
その人物はクリスの名前を無線に出す。
その後通信を切り、再びどこかに向かっていった。