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私の世界  作者: 珈琲もか
第1章:始まりと戦い。
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林間学校 I

とうとう、林間学校がやってきてしまった。

私は毎日保健室でそのことを考え、どうにかして行かないで済む方法はないものかと考えていた。


仮病を使うのは無理だ。うちにはとても正確な体温計があるし、頭痛などの症状だけでは休むことは許されない。


泣いてもダメだろう。泣けば行かずに済むのなら、私は今頃家に居る。


・・・これぐらいしか思いつかなかった。学ぶ力だけではなく、考える力も落ちているらしい。


毎日のようにそんなことを考えていると、泣くことは減ったには減ったが(朝と、学校から帰るときだけになった)、胃が痛くなったり、頭が痛くなったりと、痛いところが多くなった。


林間学校では、群馬に行くと決まっていた。キャベツがおいしい所らしい、というぐらいしか知らない。


まず、林間学校に行くにあたっての第一関門は、荷物詰めだ。やる気がない。行きたくないのだから、やりたくなるわけがない。ただ、それをやらないことによって母に何か言われるのではないかという考えは、捨てきれない。というか、確実にずけずけと言われるだろう。


第二関門は、バスに乗るときだ。みんながバスに乗って出発する時、必ず親か家族かが見送ることになっている。その時、泣かずに行けるかどうか。

答:無理でしょ。


第三関門:林間学校中、目を腫らすことなくやっていけるか。

目が腫れない程度に泣けばいいかな・・・


後はもう細かいことをいちいち考えていた。

洋服が足りなかったらどうしよう。

夜寝られなかったらどうしよう・朝起きられなかったらどうしよう。

仲の悪い子と部屋が一緒になっちゃったらどうしよう。

私がどうして保健室にばかりいるのか聞かれたらどうしよう。

このことでいじめられたらどうしよう。


もう思考は悪い方へ悪い方へと空回りし、最後には、もう行けない、行きたくない、無理無理無理無理・・・とつぶやいて1日が終わる、という毎日が繰り返された。


何も変わらない。

何も変えられない、というか、変える気が無かった。


でも、もっと自分で言えてたら、変わってたのかもしれない。でも、言う相手がいなかった。というより、言える相手を探さなかった。

そういうことを考えられるくらい、余裕があったらよかったな、と思う。

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