表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

6-初対面

次の日、登校した僕にさっそく井原君は挨拶をしてくれた。

「おはよう」の一言。そこでまた友達がいるという実感が湧いてくる。

昨日の失敗。絶望の淵に立たされた僕に手を差し伸べてくれた井原君。

あれは夢ではなかったという、そんな感動に浸っていると、僕の後ろのほうから誰か、

女子の声が井原君にあいさつするのが聞こえる。

少し小さめな、黒髪のあの子。僕が昨日まさに一目惚れをした桃井さんだった。

僕は驚きを隠せない。二人はまるで慣れ親しんだように話しているのだ。

そんなことを思っていると井原君は彼女に言う。


「なぁ、こいつ覚えてる? ほら、昨日自己紹介で」


彼の一言により、思いもよらない形で彼女と初めて会話することになる。


「あ! えっと、相田君だよね。桃井です。よろしくね」


「は、はい、相田です、よ、よろしく……」


突然のことで、うまくしゃべれない。


「昨日はどんまいだよ。だけど逆に印象強くて私は相田君のこと、もう覚えちゃったもんね」


そんな風に桃井さんは微笑みながら言う。

はたして良いことだったのかわからないが、

このとき、彼女が僕を覚えてくれたということは素直に嬉しかった。


「それじゃ、二人ともまたねー」


彼女は笑顔で手を振りながら自分の席へと向かっていく。

その笑顔はやはり可愛く、僕は体が熱く、顔が赤くなるのを感じた。


「どうした相田。もしかして桃井に惚れたか」


などと、的確なことを言われて余計に顔が赤くなったに違いない。

そんな僕を見た井原君は、


「まー、確かに桃井は可愛いよな。中学でクラスが一緒だったんだが女子で一番人気があったし」


「そうなんだ。中学校が一緒だったんだ」


「おう、だからさっき普通に話してたんだろうが」


僕は二人の疑問が解けたところで新たな疑問が生まれた。

一番人気があったということはやはり、彼氏はいるのだろうか。

しかし、今の僕にはそこまで聞く勇気はない。


羽生先生が朝のホームルームで教室に来たので僕たちは席に着いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ