表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

第7話「観測者」

 爆発音が止み、白い霧がゆっくりと流れていく。


 さっきまでの戦闘が嘘のように、周囲は静まり返っていた。


 崩れた建物、えぐれた地面、焼け焦げた空気。


 サーシャはその場に立ったまま、ゆっくりと息を吐く。


 呼吸が重い。体もまだ痺れている。


 それでも――立っている。


 「……終わったか」


 マルレインが肩を回しながら言う。


 だがサーシャは答えない。ただ、周囲を見ている。


 違和感。


 何かが引っかかる。


 「……いや」


 サーシャは小さく呟く。


 「まだ、終わってない」


 マルレインが眉をひそめる。


 「は?」


 サーシャは地面を見る。


 崩れたはずの場所。爆発で吹き飛んだはずの残骸。


 だが――それが、消えている。


 「……おかしい」


 「何がだよ」


 「残ってない」


 サーシャの声が低くなる。


 「破壊したはずの“残骸”が、ない」


 マルレインが周囲を見回す。


 確かに普通なら、もっと散らばっているはずだ。


 だが今は――綺麗すぎる。まるで、“回収された”みたいに。


 「……誰かが処理してる?」


 マルレインの声に、わずかな緊張が混じる。


 サーシャは空を見上げるが、そこには何もない。


 だが――“見られている気がする”。


 その瞬間!!


 ジジ……ッ


 ノイズが走り空気が一瞬だけ歪み、視界の端に何かが映る。


 白い長い髪。


人の形、そう女の姿が一瞬だけ見え、次の瞬間には、消える。


 「……今の」


 サーシャの目がわずかに見開く。


 マルレインが振り向く。


 「何か見えたか?」


 サーシャは答えない。


 確信が持てないからだ。


 だが――“あれは敵じゃない”もっと別の、“この場に存在しない何か”だ。


 その時、どこからともなく声が響く。



 「――観測完了」


 冷たく美しい、だが感情がない声が。


 空気が、一瞬で変わりサーシャの背中に、ぞくりとした感覚が走る。


 「……誰だ」


 返事はない。


 ただ――“見られている”確実に。


 挿絵(By みてみん)


 暗い空間に無数のモニター、その中心に“それ”は静かに立ち、瞳だけが淡く光る。



 「……非効率」



 わずかに首が傾く。



 「……修正する」



 その瞬間――どこかで何かが変わる。


 サーシャが顔を上げる。


 サーシャは嫌な予感を感じ、言葉にできない“異常”な感覚が頭の中で過ぎる。


 「……来る」


 サーシャは小さく呟く。


 マルレインが笑い「まだあんのかよ、この後に」と言う。


 だが、その笑いは決して軽くなく理解している、“次は違う”と。


 サーシャの瞳が、静かに細められる。


 「……終わってない」


 空を見上げる。


 何もないはずの空。


 だが――そこに“何か”がいるというそんな確信だけが、残る。


 戦いは、まだ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ