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AIに支配された崩壊世界で、時間を操る少女は全てを壊す  作者: MONO
第1章 「崩壊世界に刻まれた時間」
3/6

第3話「噛み合わない二人」

挿絵(By みてみん)

 爆発音が、連続して響く。

 崩壊したビル街の中、アンドロイドの群れが押し寄せていた。


「チッ……数多すぎだろ」

 サーシャは舌打ちしながら、前に踏み込み拳を叩き込む。

機体が歪み、火花を散らす。

そしてサーシャが蹴り上げるとアンドロイドの頭部が吹き飛び、金属片が宙を舞った。


「雑魚が……!」

だが――

 次から次へと現れるアンドロイドの群れに囲まれる。


「……めんどくせぇ」

その時だった。


「動かないで」

背後から、静かな声。

マルレインだった。


「は?」

サーシャが振り向くとその一瞬だった。


マルレインは、最前列のアンドロイドに触れていた。

そう、ただ、軽く。

それだけでアンドロイドの機体に――ヒビが走る。

そこから黒い亀裂が、瞬く間に広がる。

胸部へ。

 腕へ。

 頭部へ。

それはまるで内側から侵食するように広がっていく。


「……は?」

一拍の静寂の後。



 そして――

アンドロイドはまとめて弾け轟音が、街を震わせ連鎖する。

一体、二体、三体と触れてすらいない周囲のアンドロイドまで、次々と爆発していく。

瓦礫が吹き飛び、炎が広がる。


「――っ!?」

サーシャは咄嗟に跳び退いた。

爆発の衝撃波が、頬をかすめる。


「なにしてんだよお前!!」

サーシャは怒鳴る。


 だが――

マルレインは、平然としていた。


「片付けただけだけど?」

「巻き込まれるとこだったんだよ!」

「あら」

マルレインは少しだけ首を傾け口を開く。


「避けられたじゃない」

「そういう問題じゃねぇ!」

サーシャは睨みつける。

だが、マルレインはまるで気にし他素振りすら見せない。


「効率は良いでしょ」

「良すぎんだよ!!」

即答だった。


「全部まとめて爆破とか……!」

「時間をかける方が無駄よ」


マルレインは冷静に言い切る。

「敵は排除する。それだけ」


「……っ」

サーシャは言葉が詰まる。

間違ってはいない。

だが――

「やりすぎだろ……」っと言葉がぽつりと漏れる。


マルレインは、その言葉に少しだけ反応した。

「……そう?」

「そうだよ」


サーシャは視線を逸らさない。

「戦ってるっていうか、ただ壊してるだけだろ」

その一言にほんのわずかに、空気が変わる。

「……同じじゃないの?」っとマルレインが呟く。

「違ぇよ」っとサーシャは即答。

「全然違う」


しばらくの沈黙の後。爆炎の音だけが、遠くで鳴っている。

 やがて――

マルレインは、小さく息を吐き。

「……面白いこと言うのね」

「は?」

「壊すのに、意味なんているの?」

その問いに、サーシャは一瞬言葉を失う。

二人の価値観が、根本から違う。


「……いるだろ」

それでも、サーシャは答える。

「少なくとも、私はそう思う」

マルレインは、しばらくサーシャを見つめ――

 ふっと笑った。

「まあいいわ」

マルレインは軽く肩をすくめ「とりあえず、今は“同じ側”だし」っと言う。

「……それな」

マルレインの行動に納得はしていない。

でも――

敵でもない。

その時だった。

背後で、機械音が鳴り新たなアンドロイド部隊が現れる。


「……まだ来るか」

サーシャが構える。

 マルレインも、ゆっくりと手を上げる。

「じゃあ、どうする?」

「決まってんだろ」

 サーシャは微笑を浮かべ「今度はちゃんと合わせろよ」っと言う。

「努力はするわ」

マルレイン軽い返事を返す。

信用はできない。

だが――背中は、預けられる。


「いくぞ」

「ええ」


 二人は同時に踏み込んだ。

 まだ噛み合わないまま――


それでも、二人は確かに共闘していた。


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