第2話「触れたら終わり」
(※敵の爆弾化シーンそのまま再現)
――その女は、あまりにも静かだった。
爆音が遅れて、廃墟に響き渡る。
アンドロイドは跡形もなく消えていた。
「……えぐ」
その光景を見ていた少女が、小さく呟く。
金髪の少女――サーシャ。
「今の……なに?」
サーシャは理解が追いつかない。 殴ってもいない。撃ってもいない。
ただ触れただけで、消えた。
ありえない。
「はじめまして」
背後から、声がし、サーシャが振り向く。
そこにいたのは――
さっきの女だった。
長い編み込みの髪。
サングラス越しでも分かる、異質な気配。
「……あんた、今の」
「見てたの?」
マルレインは、少しだけ首を傾ける。
まるで雑談でもするように。
「別に隠すつもりもないけど」
そう言って、軽く手を上げる。
その指先には何もない。
なのに――
サーシャは、本能的に距離を取った。
「……近づくな」
「あら」
マルレインは、くすりと笑う。
「勘がいいのね」
その一言で、確信する。
こいつは――危険だと。
「安心して」
マルレインは、ゆっくりと歩み寄る。
足音すら静かに。
「あなたを壊すつもりはないわ」
「“今は”だろ」
「ええ、今は」
あっさりと認めるその軽さが、逆に怖い。
「……何者だよ」
サーシャが睨む。
マルレインは少しだけ考え――
「同じ側よ」っと、そう答えた。
「少なくとも、あなたとは」
「……信用できねぇ」
「しなくていいわ」
マルレインの返事は即答だった。
「その方が、生き残れるもの」
その言葉に、背筋が冷える。
こいつは 敵じゃない。
でも――
安心できる存在でもない。
「……名前は?」
「マルレイン」
彼女は微笑む。
「あなたは?」
「サーシャ」
短く答える。
「そう」
マルレインは一歩近づき――そこで止まった。
絶妙な距離で。
「よろしくね」
その言葉は、柔らかい。
けれど――その手が届く距離に入れば、終わる。
サーシャは、それを理解していた。




