#2
ここはぼくたち一家のじまんののうえん。
まっさおな空の下、数えきれないほどのブルーベリーの木々が、赤くそまった葉っぱをかがやかせている。
「今年も秋がやってきたんだ」
ぼくがそう言うと、こたろうはこちらをむいて、うれしそうに息をはずませた。そっか、おまえも秋がやってきたことがうれしいんだね。
ママとパパは、広い畑のはじっこのほうにいた。草とりをしているふたりに朝のあいさつをして、ぼくたちは奥のカシス畑へと向かった。
まるで、魔法つかいのホウキをさかさにしたようなカシスの木々が、ズラーッ。
黒くて小さな実はもうなっていないけれど、同じにおいが葉っぱや枝からもただよってくる。
力強くて、だけど心があたたかくなるふしぎなにおい。おばあちゃんとおじいちゃんのことを思いだす、なつかしいにおいだ。
ぼくとこたろうは、カシスの間をぬって、かけっこをしてあそんだ。
それから、なんどもすもうをとった。
すっかりつかれて土の上にねころぶと、空にかかった枝の先に、なにか小さなものがくっついているのを見つけた。
「なんだろう?」
起きあがって顔を近づけてみると、それは青い色をしたアマガエルだった。
ぼくの小指の先くらいしかない、小さな小さな体。
おなかと、水かきと、目のうしろのもよう以外は、全部あざやかな青色でできている。
その青は、宇宙から見た地球のしゃしんの青にそっくりだった。
「見てごらん、こたろう。なんてきれいなんだろう……」
アマガエルは、おなかやのどを、ふくらませたりちぢませたりしながら、つぶらなひとみで空を見つめている。
とつぜん動き出すとおどろいてにげちゃうかも。そう考えたぼくは、シーッと人さし指を立てて、こたろうにおすわりをさせた。
そして、そーっと、そーっと、めいっぱい気をつけながら、アマガエルのほうへ手をのばした。
アマガエルは、思っていたよりもあっさりと手のひらの上に乗っかってきた。
次回へ続く




