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カンカゴなんでも屋にご相談を!  作者: 中頭
宇宙人、タカシくん

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16/19

6

 目の前に現れた宇宙人に悲鳴も上げられないほど驚いているのか、とカンマとカゴは目を見合わせた。

 やがてリュウノスケはポツリと呟いた。


「知ってたけど」

「え!?」


 三人の声がぴったり重なる。

 一番驚いているのはもちろん、タカシであった。


「どういう意味!?」

「え、だって。ずっと宇宙人のままだったよ?」


 タカシはふらりと足を縺れさせた。倒れぬようにとカゴが彼の背中を支える。


「つまり……擬態していたと思ってたけど、できていなかったってことか」


 カゴの言葉に、タカシがゆっくりと振り返る。その目は今にも泣き出しそうである。


「僕はずっと、宇宙人のまま地球を闊歩していたんですね……?」

「……そういうことに、なりますね」

「ウケる」


 カンマがプッと吹き出すように笑った。カゴがギロリとカンマを睨みつける。

 ショックを受けているタカシを弄るのは、御法度に思えたからだ。


「リュウノスケくん」

「なに?」

「……宇宙人を見て、怖くなかったの?」


 タカシは震える声でリュウノスケに問うた。リュウノスケは「うーん」と唸ったあと、口を開く。


「正直ね、最初はすごく怖かったよ。だって、銀色だし、頭が大きいし。目もぎょろっとしてて、カメレオンみたいだし」

「……じゃあ、どうして声をかけてくれたの?」


 リュウノスケはタカシを真っすぐ見つめて言った。


「寂しそうにベンチに座ってるタカシくんを見たら、放っておけなかったんだ」


 その目が、静かに細まる。


「優しいね、君は」

「そんなことないよ」


 リュウノスケが笑う。白く小さい歯が、とても眩しく見えた。


「今日も、サッカーやりにきたんでしょ? 行こう?」


 リュウノスケがタカシの手を引こうとする。

 だが、タカシはその手をそっと制した。「僕はもう、一緒に遊べないんだ」と沈んだ声を漏らした。


「どうして?」

「星に……帰らなきゃいけないから」


 タカシが空を指差す。リュウノスケは「えぇっ」と悲しげな表情を浮かべた。


「帰っちゃうの? やだよ、寂しいよ」

「僕も、君と一緒にいたい。でも……仕方がないことなんだ」


 「そっか……」とリュウノスケが涙ぐんだ目元を拭う。そんな彼の肩に、タカシが手を置いた。


「……ありがとう。宇宙人の僕と、仲良くしてくれて。すごく嬉しかったよ」

「こっちこそ、サッカーを一緒にしてくれてありがとう」


 声の端々を震わせ、リュウノスケは言葉を紡いだ。


「元気でね、リュウノスケくん」

「うん、タカシくんもね」


 「じゃあ」と手を振り、タカシが踵を返す。カンマとカゴは彼を見つめ「言い残したことはありませんか?」と言った。彼は首を横に振り「これ以上ここにいると、帰りたくなくなってしまうから」と無理に笑顔を作る。


「タカシくん!」


 背中に声が届き、三人が振り返る。

そこには、涙で顔をぐしゃぐしゃにしたリュウノスケがいた。


「また、サッカーしようよ。今度は、君が住んでる星で!」

「……うん! 約束だよ!」


 リュウノスケの姿が見えなくなるまで、タカシは何度も振り返り、手を振った。

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