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◇
「あれ……大家さん、いない」
一階へ降り、大家の部屋を訪ねた。しかし、チャイムを鳴らしても、返事がない。
タカシは腕を組んで小さく唸る。
「うーん……」
やがて空を見上げ、夕暮れが近いことに気づく。
「先に、リュウノスケくんのところへ行ってもいいですか?」
「あぁ、公園で仲良くなった小学生のことですか?」
「ええ。たぶん、もう公園でサッカーをしている時間です」
そう語るタカシの横顔は強張っていた。緊張がいまだに解れないらしい。
それもそうだろうな、と彼の心境を察するようにカゴが頷く。
三人は足を公園へ向けた。
◇
ひっそりとした公園内。あるのはジャングルジムとブランコぐらいで、あとはぽつねんと置かれたベンチだけだ。
広くはないが、余計なものがないぶん見渡しが良い。
少年たちがきゃらきゃらと声をあげ、サッカーをしている。その中の一人がタカシたちに気がつき、大きく手を上げた。
「タカシくーん!」
少年特有の柔らかい笑顔を見せる彼に、タカシが手を上げて挨拶を返した。
きっと彼がリュウノスケくんなのだろう、とカゴは思った。
走ってきた少年は、肩で呼吸をしながら「遅いよ、来るの!」と笑う。
「あれ? この人たちは誰?」
「えっと……お、お兄ちゃん」
「へぇ、タカシくんってお兄ちゃんいたんだ! こんにちは、俺はリュウノスケっていいます!」
少年の無垢な笑顔を向けられ、二人はそれぞれ挨拶をする。その間も、タカシはもじもじとしていた。
やがて意を決したのか、大きく息を吸い込む。
「リュウノスケくん」
声の端々は震えていた。しかし、強い決意を感じる。カンマとカゴは目を見合わせた。こくりと頷き、タカシたちを見守る。
リュウノスケは首を傾げ「どうしたの?」と呟いた。
「リュウノスケくん。出会った時から僕に優しくしてくれて、ありがとう。あの日、サッカーに誘ってくれて、嬉しかったよ。僕はね、実は────」
俯いたタカシは、震えていた。だが、ここで逃げてはいけないと思ったのか、声を張り上げる。
「僕は、宇宙人なんだ」
タカシが指を鳴らす。それが擬態を解く合図なのだろうな、とその様子を見ていた二人は納得する。
リュウノスケは固まった。口をぽかんと開け、目をまんまるとさせている。




