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第一話

「ねぇ、海鳥たちの歌声って聴いたことある?」と誰かに尋ねれば、決まって不思議な生き物をみるかのような目を向けられる。


 私からしてみればその質問はごく当たり前の、日常にありふれた、言わば「あの映画ってみたことある?」というような軽い質問なのだけれど、大丈夫?とか、疲れてんの?とか、私の頭や心を心配する声が鼓膜に触れるのがお決まりだった。


 でも、私は確かに聴いたのだ。

 

 他の人にとってはただ鳴いているようにしか聴こえなくても、空を飛びながら歌を歌う、海鳥たちの賛美歌のようなあの美しい歌声を。 

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