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第1話 告白と筋肉

「私はもっと筋肉がある人が好きなの、ごめんなさい」


 ◆◆◆


 夕暮れ時の大学のキャンパスは静まり返り、人影もまばらだった。入学式から2週間が経ち、花びらが少しだけ残っている桜並木の下で、僕は凛に話しかけた。


 彼女の名前は凛。同じく4月に入学した同級生で、入学した当初から男たちの注目を集めていた。透き通るような白い肌に綺麗な黒髪が風に揺れている。その美しさに心奪われていた僕は、心臓が跳ねるような緊張を感じながら声をかけた。


「うん、涼くん。どうしたの?」


 彼女は足を止めて振り返り、少し首をかしげながら可愛らしく微笑んだ。その仕草がまるで小さな動物のようで、僕の心は一層高鳴った。凛の笑顔には、柔らかな魅力と無邪気さが同居していて、その純粋さに吸い込まれそうになる。


「僕と付き合ってくれませんか?」


 一瞬の沈黙。彼女の表情が固まったように見えた。そして、困惑したような微笑みを浮かべて言った。


「涼くんは優しくて、いい人だと思うけど…」


 彼女の言葉の雰囲気から、告白が失敗したことを悟った。しかし、次に彼女が口にした言葉は予想外のものだった。


「私はもっと筋肉がある人が好きなの、ごめんなさい」


 その瞬間、僕の頭は真っ白になった。筋肉?今まで彼女が筋肉好きだなんてまったく知らなかった。彼女は続けて言った。


「涼くんは素質はあると思うんだよね。筋トレしてないっぽいのに体格いいし」


 高校までバスケットボールをしていた僕は、筋トレにはほとんど縁がなかった。せいぜい部活で少し腕立てをするぐらいだった。


「私は三角筋がメロンな人じゃないとダメなの、だからごめんなさい」


(三角筋がメロン?)


 彼女の言葉に戸惑う僕。しかし、彼女の言葉に嘘がないことを感じ取った。彼女は本当に筋肉が好きなんだ。でも、諦めるわけにはいかなかった。


「じゃあ、筋肉をつけたら付き合ってもらえるかな?」


 彼女は少し考え込んだ後、意地悪そうな笑みを浮かべた。そして、少しだけ頬を赤らめながら、いたずらっぽく指を立てて言った。


「そんなに簡単に筋肉はつかないけど…大会で優勝するぐらいになったら…付き合ってもいいよ」


 彼女の言葉に驚きが走った。筋肉さえあれば付き合ってもらえるんだ。大会で優勝することがどれだけ難しいのかはわからないけど。


 彼女が僕を嫌っていないことがわかった。そして、僕にチャンスがあることも。それなら、僕も本気を見せるしかない。


「優勝して、トロフィーを持って、もう一度君に告白する。それまで待っていて欲しい」


 彼女は僕の言葉に驚いたような表情を見せた。そして、少し照れくさそうに笑った。


「涼くんは、まだその意味がわかってないと思うけど…でも、頑張ってね」


 彼女は応援するように拳を小さく振り上げた。その仕草があまりにも可愛らしくて、僕の心はさらに燃え上がった。


「任せて、絶対に君を驚かせてみせるから!」


 彼女の笑顔を胸に、僕は新たな決意を固めた。これで彼女と付き合えるなら、何だってやってやる!

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