第6話「時に信じられない効果を発揮する組み合わせがあるのだよ」
「ゆーくんご本読もう?」
姉さんが朝食後に部屋に来て言った。これはいつもの書庫での優雅な読書の時間だな。母さんたちもいるはずだ、父さんと兄さんは稽古してる。さっきから声がうるさいからすぐわかる。
「うん」
姉さんと手をつなぎ書庫まで来たら先に母さんたちが本を読んでいた。エミリア母さんは魔法書っぽい本で、シルヴィア母さんが分厚い小説だ。僕たちは母さんたちの近くで絵本を読むか。
「姉さん僕この本読みたい」
「ピーチ君の冒険?いいよ」
まだ読める字が少ないので姉さんに教えてもらってる。てかピーチ君の冒険って絶対日本人が書いただろ!ももたろうさんだろこれ!
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「ピーチ君はオーガの首を持ち帰りギルドで豪遊しました。おしまい」
「おおー」
なんかシリアスな場面が多かった気がするな。しかも主人公キザな俺様系だったし。悪ふざけで書いたでしょこれ。
「我が名はユーグラム!オーガを討伐せしもの!」
「すごいわ!ゆーくん!オーガを倒すなんて!」
「ゆーくんではない、ユーグラムだ!」
「ゆーくんは難しい言葉を知ってるね」
「うん。ありがと...」
姉さんはいつもおままごとに付き合ってくれない。天然というか現実主義なのかあまり創作物などに憧れたりはしないみたいだ。だが士気スキルを使い、いつもより気合の入った演技で姉さんにおままごとをさせられるのではないだろうか!いつもはダメだけど今回はきざな俺様系だ、もしかしたら姉さんの好みに合うかもしれない!いくぞ!
「そこのお嬢さん、僕と一緒に冒険に行かないかい?この僕に声をかけてもらえたことに感謝するといい」
「そこの奥さんたちも一緒にどうかな?このキビダンゴをあげよう。僕の冒険についてくるといいさ」
「ゆーくん。私そういうタイプの人嫌いだな」
「「私も」」
「ははっ!手厳しいね。でもこの僕に声をかけられてなびかなかった女はいないのさ!」
「さあ僕の手をとりたまえ!君たちに素晴らしい景色を見せてあげるよ!」
これでこの女たちは僕のものさ!このまま冒険に行ってオーガを倒してしまおう!
「あらら、またゆーくんトリップしちゃってるわ」
「二コルに怒られるのも時間の問題。」
「さあゆこう!胸の小さなご婦人たち!」
「「………」」
「あらら地雷ふんじゃったわね。」
「そちらの最近体重が増えたご婦人も来なさい!」
「「「………」」」
「みんな顔が怖いよ。そんなんじゃきれいな顔にしわができてしまっ」
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「いてて」
頭にたんこぶができてた。いつのまにか寝ちゃってたみたいだ。あんまり記憶ないし。ちょっとぼーっとしてたら部屋のドアが開かれた。
「ゆーくん起きてる?」
「起きてるよ姉さん」
「寝ちゃってごめんね。あとなんかたんこぶできてたんだけど理由知らない?」
「わかんない」
「そっか」
「ごめんね」
「ううん、謝らなくていいよ。多分寝てる間にぶつけたんだと思うから」
「うっうん。ごめんね」
なんで謝るんだろう?その夜母さんたちも僕のことを気まずげに見てた。なんでだろう
次回!キング・クリ〇ゾン!