タリスク防衛戦
タリスクの敵の急襲を告げる鐘がなる
ドアンナは、鐘の音に飛び起きた。水差しの水を飲むと、まだ寝ているレイセンたちを差し置いて、ローブを羽織って外に飛び出した。
外に出ると、鐘の音はより大きく聞こえた。彼女の心臓が高鳴った。
冒険者達も、皆通りに出てある歩行に目を凝らしていた。それは、川の上流だった。
上流から、船が来た。船は、大きな黒い船に追われていた。
追われる側の船には、たくさんの子供達が乗っていた。
軍隊に追われているどういうことだ
助けてくれ!ザクセンの船だ!ミヤコはザクセンに襲われた!」
船から子供が叫んdな。
こうして、わずか四時間の冒険の後に、彼らは帰路に着いた。男たちが獲物を持つと言ってくれたので 、女たちはそれに甘えることにした。
彼女たちは森を抜け、ラインベルクの土手に出た。その時ようやく、彼女たちはネーヴェに起こっている異変に気づいた。
川の向こう、草原の丘に立つネーヴェの城塞は、黒い煙に包まれていた。
【ドアンナ】「えっ……何?何が起こってるの……」
ドアンナは呆然とネーヴェを見ていた。この距離からでは米粒ほどにしか見えないが、ネーヴェの南門のあたりで何かが起こっていた。
【ダグラス】「あれは人間じゃないな……魔物じゃないか。オークのように見えるが」
「おいお前たち、姿を隠せ!」
突然、どこかからドアンナたちに声がかけられた。振り向くと、上流側の森に、同じように冒険者が潜んでいた。
彼らは、昨日酒場の入り口で座り込んでいた飲んだくれの冒険者だった。
彼らはドアンナたちのすぐ側まで走ってきた。
【セーラ】「一体、何が起こっているんですの?」
【隻眼の冒険者】「ザクセンが戦争を仕掛けてきたらしい。さっきガキを乗せた船がたくさん逃げてきたぜ。ローゼンハイムはもう陥落したんだと」
【セーラ】「なんですって?じゃあ、国王様たちは今どこに」
【隻眼の冒険者】「おれも詳しい事情は分からねえ。とりあえず今はガキたちを助けることを優先しないと。来るぞ」
冒険者が指差すと、下流から船がやってきた。
それは帆船だった。中央のマストには白い大きな四角帆が張られ、その白いキャンバスには青黒い魔方陣が描かれていた。
その舷側は、漆塗りの黒で染められていた。
【セーラ】「ザクセンの船ですわね」
彼女たちは、森の梢の中に潜み、船が目の前を通過するのを観察した。
船の甲板には年端も行かない少年少女が乗っていた。彼らはわずか十にもみたない子どもたちだ。人質だろうか?
その後ろに、船の操船手も乗っていた。彼らもまた、若い少年たちだった。恐らくセーラたちとほとんど年齢は変わらないだろう。
やがて船は彼女たちの目の前までやってきた。
セーラーは、そのうちの一人、茶色いフードをかぶった女性が気になった。彼女のフードからはみ出ている赤い髪に見覚えがあった。
セーラー自分の目を疑った。しかし彼女は、隣に立つ小人の少女の姿を見て確信した 。
セーラーは森から飛び出した
【ドアンナ】「おい!!!」
ドアンナは叫んだ。しかし、セーラは土手の草原を突っ切ると、帆船の真横を並走した。
【セーラ】「王女様!」
セーラは叫んだ。
女はフードを取り、叫び返した
【アマンダ】「セーラ!」
【セーラ】「一体全体、王女様がどうしてここに?」
【アマンダ】「私達は追われてるの!あなたも早く逃げて!」
王女が押す叫びながら、下流を指さした。
下流の先には、目の前のものと同じ、黒い帆船がいた。しかし、その甲板には緑色の肌をした醜怪な魔物、オークたちでひしめいていた。
【セーラ】「あの船を潰せばよいのですね」
彼女は森に舞い戻ると、みなに大きな声で言った
【セーラ】「さっきの船には、王女様が乗っています」
【デイン】「なんだと?」
【セーラ】「あの後ろの船は王女様を追跡しているようです。今からあれを叩きますわ。みなさん準備してください」
【隻眼の冒険者】「叩くったってどうするんだ?岸からだいぶ距離があるが、どうやって乗り込む?」
【セーラ】「わたくしにお任せを」
そういうと、彼女は呪文を唱えはじめた
【セーラ】「二つの水球よ乗せたまえ」
彼女がそう唱えると、空中に二つの大きな水び球が造られた。
ジータはその一つの眼の前に立つと、息を大きく吸い込んで中に入った
【セーラ】「さあ、みなさんはもう片方の球へお入りに成ってください。ダグラスさんたちも、冒険者さんたちも!」
ダグラスや冒険者達は、彼女に従い、息を止めてその水球に入り込んだ。
【セーラ】「では飛ばしますわよ~」
彼女はそう言うと杖を振るった。
ジータを乗せた水球が、空中を横切り船の方へ飛んだ。そその大きな水の塊は、船の上空で爆発すると、甲板を水浸しにした
オーク達が反応するまもなく、ジータが水球から飛び出し、魔法を唱えた。
【ジータ】「雷撃よ」
空から彼女に向かって電撃が降り注いだ。電撃は水を伝い、甲板に立つすべてのオークが雷に打たれた。
彼らは突然の衝撃に、なすすべもなく倒れた。
そこに、二つ目の水球が飛んできた。その水球もまた、船の上空で爆発した。そして、中から冒険者達が飛び出した。
トグマ、ダグラス、ケイの三人組は、船首のオークに突撃した。オークたちは、まだ雷撃の衝撃に痙攣し倒れていた。
【トグマ】「へっ!楽勝だぜ!」
トグマはそう叫びながら、オークたちに切りかかった。ダグラスは槍で、ケイは長剣で倒れ伏すオークの首を次々と穿ち、切り刻んでいった。
次いで冒険者達が、船尾の悪魔に襲いかかった。彼らは熟練者らしく、長剣ではなく短刀を取り出し、オークの首に狙いを定めて次から次へと息の根を止めていった。
デインとアドルは船内に突撃した。
部屋の中には、ろくに装備も着けていないゴブリン達がひしめいていた。
【アドル】「こいつらは俺がやる」
アドルはそう言うと、魔力を込めながら剣の刀身を手で拭った。すると、その東進は赤く輝き、炎に包まれた。
【アドル】「赤炎刀」
彼は刀を振るった。すると、その剣筋に合わせて炎の刃が宙を飛んだ。ゴブリンたちは次々と炎に包まれ、船室は灼熱の地獄と化した。
【アドル】「デイン、行け!」
アドルは叫んだ。
デインはさらに船内の奥へと進んだ。そして、廊下の奥の扉を開けた。
中には巨体のオークがいた。彼は壁に掛けられていた巨大な鉄斧を握ると、デインに向かって横薙ぎに振るった。
その巨大な質量は、デインの体を真っ二つに引き裂くかに思われた。
しかし、デインはその両刃の刃に、左手をかざした。そして、手によってその攻撃を受け止めた。
【デイン】「手盾」
彼は鉄斧を握ったまま、オークの懐に入り込み、その喉元を鉄剣で貫いた。
オークは血を吹き出し、床に倒れた。そして死んだ。
デインは甲板にてオークの生首を掲げ、勝鬨をあげた。
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王女たち一行は、セーラ達が奪った船に乗り換えた。セーラは王女の前に膝をついて言った。
【】「王女様、お久しうございます」
【王女】「ええセーラ、久しぶりね」
【セーラ】「一体なにが起こっているのですか」
アマンダは事のあらましを離した。
【セーラ】「そうですか、王は闘っているのですか
【セーラ】「わかりました。ぜひ私達は王女にお供させてくださいまし
【隻眼の冒険者】「じゃあ俺たちは残るぜ、遊撃してやつらの邪魔でもするか
【トグマ】「じゃあ俺たちも残るぜ トグマが入った。
【冒険者】「やめとけ。お前らなんざ足手まといだぜ。それより王女お護衛に付け
【冒険者】「まあ聞け。そもそも嘔吐の襲撃が未だに伝わってないのがおかしい。それは、悪魔の奸計だろう」
なあに折れて血はお前と違ってベテランだからな。引き際をまちがったりやしねえよ。行って来い
【】「わかりました
こうして彼らは冒険者と別れ、更に川を登っていたた。
しばらくゲリラ戦やった後、アマンダたちとかち合う
ここは俺たちベテランにまかせな!お前たちはブリスコーへゆけ!
わかりましたわ
タリスクという街で、過ごしている
なるほど
そこまでゆけばいいのか
タリスクではなく、ネーヴェにしたら
ななななんですのこれは!
商船が燃えている
たくさん
朝起きたら、タリスクという街が、炎に包まれている
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ドアンナは目を凝らした。
南門は、オークの襲撃を受けていた。門の外には大量の攻城機械が設置されていた。そして大きなオークが身振り手振りで指示を飛ばしていた。
オーク達が城壁に突っ込み、そこに梯子がかけられた。そして何匹かのオークがその梯子を登り切り、城壁の上に出た。彼らは何人かの弓兵を斬り殺した。
しかし、すぐにネーヴェの誇る魔法使いによる反撃が始まった。
梯子がかけられた城壁の上は、一瞬のうちに炎に包まれた。何人ものオークが体を炎に包まれ、熱さに悶えて城壁から飛び降りた。
火が消えると、城壁はすぐに弓兵で埋め尽くされ、地上に向かって矢の雨を降らせた。壁際に集まっていたオークたちはは蜘蛛の子を散らすように散った。
そこへ魔法使いたちの追撃が始まった。突然、ネーヴェの上空200メートルに、巨大な火球が出現したのだ。それは直径50メートル以上の大きさが有り、その激しい炎の明るさは、、およそ2キロ離れたの距離にいるドアンナですら、眩しさに目を細めるほどだった。
オーク達は逃げ惑った。火球は隕石のように地面に衝突すると、爆散した。火球は四方八方に散らばり、たちまち草原は火の海となった。炎はやがて草を伝い、攻城機械を飲み込んだ。
ドアンナたちは土手の草むらに立ち尽くし、呆然とネーヴェの様子を見ていた。