PVC in the sky
こんにちは。作者の夏雪足跡です。まずは、作品を閲覧してくださり、誠にありがとうございます。
なるべく早く更新していきますがなにぶんしがない学生ですので、作品の更新が遅くなるかもしれません。すみませんがご了承ください。では、存分に作品をお楽しみください。改めて作品を閲覧してくださり本当にありがとうごさいます。感想お待ちしております!
白いものが飛んでいた。私の視界に入ってきてすぐに去っていった。なにか気になって私は目線をそちらに動かす。私の上空にはPVCが飛んでいた。俗にビニール袋と言われる白いプラスチックが飛んでいた。とても軽やかに、台風の後の強い風に乗せられて、10階を超えるマンションより上で踊っていた。私は羨ましいと思った。風を全身で感じて風に飛ばされて高く舞い上がる。そこから見える景色はどんなものなのかしら。勝手に妄想を始める。人が風に飛ばされるためには平均風速25m/s以上30m/s未満で高速道路を走る車くらいの風速の風が必要らしい。うまく想像できないけれどとても強くて速そう。そんな風が吹くことは滅多にないから、やはり人は風で飛べないんだなと、勝手に妄想して勝手に落胆した。
どこかから視線を感じて、あたりを見渡した。とは言っても僕は風に飛ばされているから、視点が定まらなくて困る。やっと見つけた僕に熱い視線を送る女の子は自転車を漕いでいた。僕よりうんと下にいる地上の女の子。僕を3秒ほど見つめて目を逸らす。自転車を漕いでるときは僕なんか見ていちゃダメだろう。彼女の自転車は道を真っ直ぐブレもなく進んでいく。僕は人を羨ましいと思った。勝手に妄想を始めよう。僕には自由に動かせる手足があって、自転車もなんなら車も持っていて、簡単に風で飛ばされない体もある。でも人には社会的立場や関わらなきゃいけない人も多くてなかなかに疲れそうだ。勝手に妄想して、僕はまた失望した。
もし私がビニール袋みたいに風に飛ばされて空を飛べたらって考えたけれど、考えてみれば、ビニール袋って風に飛ばされるだけで自分の好きなところへはいけないし、いつかは風が止んで地に落ちるのね。踏まれて踏まれて消えてしまったらとても悲しそう。その点私は人だから、行きたいところへ行けるし踏まれもしないわ。ビニール袋って案外大変ね。
もし僕が人間で行きたいところに自由に行けたらって考えたけれど、考えてみればいつでも好きなところに行けるほど自由ではないし、風にも乗れないから、街を上空から眺めることも、人はできないんだなぁ。それに僕が人になって風に流されなくなっても、社会という波に流されることに変わりはないんだ。なぁんだ人間の方が大変そうだ。
「あぁ私は」
「あぁ僕は」
「人間で」
「ビニール袋で」
「「よかったなぁ」」
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