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後輩に恋した私  作者: 楓璃音葉
4/5

あの絵師さん

次の日、私と陽菜は図書室でデッサンをしていた。もちろん陽菜はいつも通り黙々と描いている。

でも、私は昨日の投稿の事が気になりすぎてデッサンに集中できない。

もし、聞いたとしても間違っていたらどうしよう。あと少しでこの課題も終わってしまう。2人きりで話すことが出来るのはこの課題が終わるまでかもしれない。

「先輩、時間になったので終わりますね」

「え、うん、」

「先輩はまだやりますか?」

「うん、提出日に間に合いそうにないからもう少しやろうかな」

「わかりました。では、お先失礼します」

「はーい、じゃあね」

「はい!」

陽菜は片づけをして図書室を出た。

一人だけの図書室は薄暗く寂しさがあった。

 課題を進めていると終礼のチャイムが鳴った。私は急いで片づけを済ませ図書室の鍵を閉めた。

 図書室の鍵は終礼のチャイムが鳴るまでに返さないといけない決まりになっていた。

私は廊下を全速力で走った。図書館はまだ電気がついていた。

「すいません遅れました」

「お疲れ様。今日陽菜さんはいないの?」

「陽菜は先に帰りました」

「そうなの、珍しいね」

「中原さんは一緒に帰らなくて良かったの?」

「課題の期限に間に合いそうになくて」

「そうなんだ、お疲れ様」

先生に鍵を返して私は家に帰った。


 家についてすぐ私はピクシルを開いた。MIZUさんのプロフィールを見返した。でも、これといった手がかりは見つからなかった。

翌日、いつも通り陽菜と私は図書室で課題を進めていた。

今日は私も集中して描いた。

「先輩」

「何?」

「先輩が好きだと言う絵師さんはどんな絵を描くんですか?」

私はドキッとした。

ここでMIZUさんの名前を出そうか、それとも別の人の名前を出すか。

「先輩?」

「え、あっ、私の好きな絵師さんはMIZUさんだよ」

言ってしまった。

「MIZUさんですか」

「え、うん」

「そうなんですね」

陽菜は、片づけを済ませて図書室を出た。

本当の事を知りたかった私は片づけをして陽菜の後を追いかけた。

美術室に行くと陽菜の姿は無く鍵がすでに閉まっていた。もしかしたら図書館にいるかと思い廊下を全力で走った。

 2階の廊下から図書館が見える。

そこには陽菜の姿があった。

しかし、陽菜の隣には一人男子か女子かわからない中性的な人がいた。

陽菜すごく親しそうに話をしていた。

私は図書館に行かず遠くから見ていた。

その後は後を追わず帰った。

 翌日この日は部活休止日だったので私はいつも通り図書館で絵を描いていた。

絵を描いていると私の向かい側に誰かが座った。すりガラスではっきりとその姿は見えなかった。

それからは特にうるさいわけでもなく静かだった。

 区切りの良い所でスケッチブックを閉じて小説の棚へと向かった。

本を探していると図書館に誰かが来た。

「こんにちは!」

図書館に来たのは陽菜だった。私は見つかりにくい場所に隠れたが特に理由は無い。

陽菜が真っ先に向かったのは私の前に座っていた人の所だった。

陽菜も隣に座って楽しそうに話していた。

少ししてから陽菜が席を立った。

「あれ、先輩のカバンがある」

やばい!私は席にカバンを置きっぱにしていたことを忘れていた。

陽菜は私を探しだした。

「先生、中原先輩は知りませんか?」

「図書館からは出てないからいると思うよ」

陽菜は図書館にいる私を探し始めた。

私は、今いる棚の反対側にあるマンガの棚で本を読んでいるふりをした。

「あ!先輩、ここで何しているんですか?」

「え、いや、さっきまで絵を描いていたからちょっと休憩」

「そうなんですね!お疲れ様です。私はこれで失礼します」

「うん、じゃあね」

 そして、陽菜は一緒に居た友達と帰って行った。

私は、本を1冊借りて帰った。


 翌日部活に行くと陽菜は1人で絵を描いていた。

私も準備をして陽菜の隣の席に座った。

「お疲れ様」

「先輩!お疲れ様です」

「陽菜お疲れ様。課題進んでいる?」

「はい!いい感じに進んでいます」

「そう」

その後は話をすることもなく課題を進めた。

 部活終了のチャイムが鳴った。

「先輩一緒に帰りませんか?」

「え、うん、良いよ」

「やったー!」

陽菜は、私と帰ることが出来て嬉しそうだった。

帰りの支度を済ませ学校を出た。

「先輩と二人で帰るの久しぶりですね」

「そうね」

「先輩最近図書館によくいますよね」

「え、うん」

「図書館で何をしていたんですか?」

「絵を描いていただけ」

「そうですか?ほかにも何か理由があったんじゃないんですか」

陽菜に隠し事はできないようだ。

「実は最近陽菜が他の子と帰っているのを見て陽菜とその子の関係が知りたくて」

「そうなんでか」

「ごめん、なんかストーカーみたいな事してしまって」

「気にしないでください怒ってはいませんから」

「ほんとに?」

「はい」

「1つ聞いてもいい?」

「何ですか」

「MIZUさんは陽菜なの?」

「そうですね、MIZUは私です」

「陽菜だったのか。それで、陽菜は百合が好きなの?」

「そうですね好きだけれども私の場合は私自身かしてみたい恋愛をイラストにしているだけです」

「なるほど」

「おかしいですよね女の子同士の恋愛なんて」

「そうかな」

「そうですよ、現実では表に出しにくいし私と付き合ってくれる人なんていないですよ」

「そうなのかー あの子と付き合わないの?」

「あの子は私の事を全部知っていますがあの子は中性なんです。それに幼稚園の時からの幼なじみなので付き合うにはハードルが高くて」

「そうなんだ……」

「すみませんなんかとんでもない話をしまって」

「大丈夫だよ、陽菜の事詳しく聞けて良かったよ」

「そうですか」

「陽菜!」

「はい、」

「私の恋人になってくれませんか」

その瞬間私と陽菜の空間だけ時間が止まったように思えた。

「少し考える時間をください」

「うん、わかった」

 そして二人はいつもの道で分かれた。

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