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復讐の狂鬼  作者: 赤岩実
最後の闘い
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2

 上野駅周辺に着いて適当なパーキングに車を入れるとすぐに銀行へ向かった。

 雄治は恭子との結婚式の資金として貯めておいた預金を、千円以下の端数を残して何回かに分けて全ておろすと、アメ横にある米軍の払下げ品などのミリタリーグッズを取り扱っている店に入った。

 かなり着古して色あせた古着の戦闘服や弾倉帯、その代わりになりそうなベルトなど数点を手に取って確認し、暗闇の中で見えにくいと思われること、弾薬を入れるための大きなポケットがあることなどを条件に紺系の迷彩柄の入った作業着のような上下の服と、靴底と甲の部分に鉄板の入った半長靴、そしてかなり高価だったが赤外線機能を備えた双眼鏡を購入した。

「お客さん、はじめて見る顔みたいだけど結構なマニアだね、念のために言っておくけどさ、見えにくい恰好して、これ使って夜の公園でカップルなんか覗いちゃったりすると犯罪だからね、捕まっちゃうからやっちゃ駄目だよ」

 店員は冗談交じりに言って笑った、目の前にいるサングラスに無精髭の男がついこの前まではワイドショーに頻繁に映っていた男だとは気付いていないようだ。

「ははは、ああ、なるほどそういう使い方もあるのか、でもそんなことしないよ、単なる趣味さ、覗きなんて趣味じゃない、この赤外線機能付きの双眼鏡は前から欲しくて、かみさんに内緒でへそくりを貯めたんだよ」

 雄治は口元に笑みを浮かべて店員と談笑して支払いを済ませ、それらの荷物の入った大きな紙袋を抱えるようにして持って店を出た、すぐに車に戻るつもりだったが途中の文房具店に立ち寄って小さなダンボールの箱とガムテープを買ってから車に戻った。

 銀行で下した金は買い物した残りでも300万円以上はある、さすがにこの金を現金書留では送れないと思っていたので、銀行から持ってきた封筒を使って100万の束の入った封筒3つ作り、もう一つの封筒に買物をした残りの端数を入れ、さらにそこから3万円を抜き取って財布に入れると、いくつかの封筒にメッセージを書いた。


 お義父さんへ

   こんな形で別れを告げること、お許しください。

   同封の金、この金は恭子さんと結婚式を挙げるつもりで貯めたものです。

   でも、もうそれは叶わぬ夢となって消えました。

   僕は今日、恭子さんの仇を討ちました、いや、この命に代えてでも仇を討ちます。

   たぶんニュースに流れ、ご迷惑をおかけすることになるかもしれません。

   それに、僕はもう恭子やお義父さんたちに会わす顔はありません。

   でも、最期にこんなことを頼めるのは、お義父さんしかいません、

   この金を恭子さんの入る墓を建てるのに役立ててください。

   さようなら、本当にありがとうございました。


 全ての封筒をダンボールに入れると、アタッシュケースの中で銃を固定するために使っていた緩衝材を詰め込んで厳重にガムテープで封をし、パーキングの近くにあったコンビニエンスストアに行って宅配便で恭子の実家に送る手続きを済ませた。

 あとは約束の時間までに準備をすれば良い、しかし都内を車で徘徊していると万が一にも検問などに引っかかって車内を調べられてしまったら何もかも終わる、それを警戒して買ってきた迷彩服などを紙袋のままトランクに入れ、車をパーキングに停めたままで近くのサウナで仮眠を取ることにした。

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