1
梅雨入りした6月、2人は年内には結婚しようと少しずつ準備を進めていた。
その日も雨の降る中、雄治と恭子は車で都内の結婚式場を数箇所見て回り、恭子がとても気に入ったというホテルにクリスマスの直前の日に予約を入れることが出来た。
ホテルからの帰り道、恭子の家へ向かう途中にあり何度も2人で行って顔なじみになっていたレストランに立ち寄り、食事をしながら式場のパンフレットや見積りなどを見ていると店長たちから祝福の言葉をもらった。
楽しい夕食を終えて店を出て駐車場へ行こうと傘を開いた瞬間、自動車の急ブレーキの音と爆竹が破裂するような軽い爆発音が数回響き、ほぼ同時に女性の悲鳴が聞こえ、雄治は左腕に焼けるような激痛を感じたとき、その左腕につかまっていた恭子が奇声を上げて雨に濡れたアスファルトに崩れ落ちた。
雄治には一瞬何が起こったのかわからなかった、倒れた恭子を見ると体の下から大量の血が雨とともに流れ、白いワンピースが真っ赤に染まっていく。
「恭子!恭子!」
雄治には何がなんだかわからなかった、ただ血に染まっていく恭子を必死に抱き起こし、出血している胸の辺りをハンカチで強く押さえたが、その勢いはおさまることなく瞬く間にハンカチは赤く染まり、恭子の顔が青ざめていく。
「誰か、救急車、救急車」
自分の左腕の痛みも忘れ、店から出てきた野次馬や店員に叫び続ける。
「恭子、しっかりしろ、すぐ救急車来るから・・・しっかりしろ、恭子!」
わずか数分のことが、まるで数時間に感じるほど、救急車のサイレンが聞こえてこない。
「救急車・・・早く来いよ、早く・・・恭子が、恭子が・・・」
数分後に到着した救急車は、意識の無い恭子と左腕から血を流している雄治を乗せて病院へ向かった。




