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雄治は本木が使っていたナイフを取り出すと、いきなり古河の片方の耳たぶを切り落とした。奇声をあげて気を失いかけるが、雄治は髪の毛を掴んで顔あげさせ、気を失うことすら許さない。
「おいおい、俺を甘くみてんじゃねえぞ、何も言わないなら奇声もあげんじゃねえよ、とことん根性見せてみろや、何もしゃべらないならお前にはもう用はない、飯田や山形が残っているからあいつらを痛めつけて吐かせてみせる、むしろそっちの方が簡単に口を割るかもしれねえしな、でもてめえは絶対に楽には死なせねえぞ、恭子を失った俺の悲しみと苦しみを、この場でたっぷりと苦痛を与えることで味あわせてやるからよ」
雄治は鬼のような形相で狂ったように言い放ち、致命傷にならない程度にナイフで腕や太腿を切り刻んでいく、古河は続けざまに襲ってくる痛みに気を失うこともできず、奇声をあげて涙を流した。
「てめえよ、奇声もあげるなって言ったよな。何もしゃべるんじゃねえよ」
雄治は狂ったように責め続けた。
「わ、わかった・・・言う、言うから、もうやめてくれ!頼む、やめてくれ!」
雄治はナイフを持った手を止めると、付いている血を古河の服で拭ってナイフをしまった。
「そうか、やっと話す気になったか!それじゃあ話してもらおうか」
「黒幕の正体は・・・お前もよく知っている、山・・・」
そこまで言いかけたとき、小屋の外で足音と銃のスライドを引いたような金属音が聞こえた。
雄治は外に誰かいる気配を感じて銃を抜くと、小屋の壁の隙間から外を覗き見た。小屋の周囲を取り囲むように銃を持った男たちが見える、成川組の連中だ。
「おい、中にいるのはわかっている、大人しく組長を渡せば命は助けてやる、早く出てこい」
ドスの効いた声が響き、その声を聞いた古河は助かったと思い、顔つきが変わる。
「おい、いっきに形勢逆転だな、さあ、大人しく俺を解放しろよ、ここまでやってくれたんだ、お前こそ生きているのが辛くなるほど、たっぷり苦しみを味あわせてやるからよ」
急に態度が大きくなり雄治を脅しにかかるが雄治は冷静だった。
「それはどうかな?俺はもう殺すことを躊躇しない、本木に言われたんだが、俺はもう鬼になったみたいだからよ、こうなったらしかたないな」
銃底で古河の鼻を思い切り殴ると、銃口を古河の額に当てて躊躇無く引き金を引いた、頭が反動で反り返り一瞬で絶命する。
そしてすぐに隙間から外を見た、小屋は完全に囲まれているが絶対に逃げてみせる、死んでたまるか、例え悪魔にこの魂を売ろうとも俺は最後まで戦うと心に念じた。




