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早川たちを運んだ時と同じように国道などの幹線道を避けてあの山小屋へ到着した。
小屋のそばで車を停め、タバコに火を点けてトランクを手元のレバーで開け、車を降りて半開きのトランクをゆっくり開けると古河は既に目を覚ましていて、雄治の顔を見た途端に鋭い目で雄治を睨みつけた。
「お目覚めですね、ここではなんですから小屋の中に入りましょう」
体を縛っておいたロープを掴んでトランクから出そうとすると激しく抵抗したが、完全に手足を縛られているため思うように動けない。
「あばれんじゃねえよ、往生際が悪いな」
雄治はそう吐き捨てると、古河の顔と腹を数回殴り、抵抗できないと諦めたのか抵抗しなくなったところでトランクから引きずり出し、その巨体を肩に抱え上げて小屋へと入り、古びた椅子にその体を降ろして猿轡をはずした。
「てめえ、何者だ、こんなことして、ただで済むと思うなよ」
喉が渇いているのか、言葉を詰まらせながらも雄治を睨みながら凄むように言い放つ。
「なんだ、俺の顔を知らないのか?ワイドショーにも映っていたと思うけどな、お前らが殺した松田恭子の婚約者だよ」
「あのときの男か、こんなことなら一緒に始末しておけば良かった」
「偉くなりたかったかなんだか知らないが、あの日、自分んとこの組長を殺したかったらしいな、そのついでにいろいろと秘密を知った恭子を、その流れ弾に当たったように見せかけて殺した、そんな筋書きのようだが」
雄治は古河の目をしっかりと見据え、睨みつけるようにして付け加えた。
「お前の方こそ、ただで済むとは思っていないよな?」
「証拠はあるのか?」
古河はまだふてぶてしい態度だ。
「さっき、あの時一緒に始末しておけば良かったって言ったよな、それから、証拠か、それなら4人が話してくれたよ、全てあんたの指示でやったとね。もちろんこんなことしてただで済むとは思っていないが、俺はもう4人殺しているからさ、あっ、5人か、それに失う物はもう何も無いからさ、残りの飯田と山形、そしてお前らを裏で操っている奴も片付ける、それまでは、恭子の仇を討つまでは死ねないと思っているよ」
「5人殺した?」
「ああ、あんたんとこの本木と大久保って奴と、俺の上司の早川と大山だよ」
「くそっ、本木のやつ、どうりで姿を見せないと思ったら・・・あと1人は?」
雄治はニヤリと微笑むと、近くの椅子に腰をおろして古河と向き合った。




