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「そんなに私の体が欲しいの?だったら好きなようにさせてあげるから銃なんてしまってよ」
「別に体が欲しいわけじゃない。お前の男に用がある、ここで待たせてもらうだけだ」
「あんた、私の彼がヤクザだって知っているの?しかもそのへんのチンピラとは違うのよ。今すぐ出ていけば無かったことにしてあげる」
そう言いかけた悦子に猿轡をかませると、雄治は冷静な声で語りかけた。
「知っているよ、成川組ってちっぽけな組の次期組長だろ、たぶん組長にはなれないけど」
悦子は目を大きく見開いて驚いている。
「あいつには、でっけえ貸しがあってなぁ、直接会って返して貰わないとならない、お前さんには気の毒だが、このまま大人しくしていてくれないか」
そう言ってベッドに悦子を横たわらせると、その細い足首も結束バンドで縛り、部屋の中にあったビニール紐で悦子の体をベッドに縛りつけた。
時間はあまりない、雄治はすぐに古河を迎え撃つための準備をはじめた、玄関にわざと靴や傘を散乱させていきなり部屋に入ってこられないようしておき、寝室に戻って猿轡の上からさらにテープを巻いて呻き声も出せないようにした。
すぐに全ての部屋を見て回り、寝室と廊下を挟んだ反対の部屋に身を隠せることを確認すると、再び寝室に戻って悦子を見た、恐怖で涙を浮かべて小刻みに震えている。
悦子に何か声をかけようと思った時、雄治が鳴らした時と違うインターフォンの音が部屋の中に響いた、この音は玄関ではなく1階のオートロックのドアの前からの呼出し音のようだ。
「ごめん、ちょっと大人しくしていてくれよ」
悦子にそう声をかけると風呂場の電気をつけてシャワーの蛇口をひねって水を出し、確認しておいた部屋に入って身を隠した。




