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川上は全身、特に頭を強く打ったらしく、病院に運ばれた数時間後に息絶えた、雄治は病院のロビーの椅子に座りながら、罪悪感に打ちのめされていた。
事情聴取のために病院を訪れた警官が雄治の顔を見て、思い出したように切り出した。
「あなたは確か先日の・・・もしかして亡くなった川上さんは新しい彼女ですか?」
何か意味ありげな口調で話しかけてきた刑事の顔を雄治はムッとした目で睨みつけた。
「彼女は職場の同僚です。死んだ恭子・・・婚約者の同期の子で、相談したいことがあるからと言うので行きつけの店で彼女を待っていたんです」
そう言って店の名前を告げると、数人の刑事が走り去り、その後も事情聴取が続いた。
1時間ほど経ってその刑事から連絡があり、雄治が店で川上を待っていたこと、車の音や叫び声を聞いて駆けつけたことの裏が取れ、雄治は川上の両親の到着を待って帰宅した。
彼女の事故は偶然なのだろうか、それとも自分に協力したために巻き込まれたのだろうか、アパートに戻っても、まだ罪悪感で心が重かった。
しばらくして、気持ちを落ち着かせようと買っておいたビールを飲み、テレビとパソコンを点けたが、川上の事件は単なるひき逃げ事件として扱われているようで全く取り上げられていない。
雄治はついでにメールをチェックしてみると、またしても自分の会社のアドレスでメールが届いている、ファイルの添付は無かったが、そこには驚くべきことが書かれていた。
斉藤雄治様
早川、大山、本木、大久保の4人から何か聞きだせましたでしょうか?
彼らの行方がわからないので、恐らくは貴方がすでに始末したと推測しております。
しかし、ご安心ください、私は貴方が会社の女性と手を組んで奴らをおびき出したこと、
誰にも知られぬよう、その女性は私の方で始末させていただきました。
もうこれで、貴方は誰にも弱みを握られることがなくなりました。
それと、貴方たちが4人を運び出す姿が映された監視カメラの映像も消去してありますので、
心おきなく婚約者の方の復讐をとげてください、成功を祈っています。




