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翌日、雄治は少しだけ仮眠を取って会社に出社したが会社では早川と大山が突然出張し、出張先も不明ということで所在がつかめず、連絡が全く取れないことが問題になりはじめていた。
席を立った川上から雄治の携帯電話にメールが届く。
「部長たちはどうしたんですか?まさか警察に渡したとか?それにしては話題になりませんね」
それを見た雄治はメールでは詳しく話せないので、今夜、この前の店で話すとだけ書いて返信した。
仕事が終わって先に退社した雄治は、この前の店に向かった。
川上よりも早く店に着いたので、また個室を用意してもらって川上が来るまでカウンターで店長と話をしながらビールを飲んでいた。
「この前はびっくりしたよ、恭子ちゃんがあんなことになったばかりなのに、いきなりあんなかわいい子を連れて個室なんて・・・」
「ああ、あの子は会社の後輩だよ。恭子と同期の子で同じ部で一緒に仕事していたんだけど、プライベートのことで相談したいことがあるって言うからさ、そういう話は他の連中に聞かれたくないだろう、だからここへ連れてきたんだよ」
「もしかして今日も来るの?」
店長は少し嬉しそうな顔をしている。
「そろそろ来る頃だと思うけど・・・何?店長、もしかして気にいったの?紹介しようか?」
雄治が店長をからかうように笑っていると、店の外でドンと低く響くような音がかすかに聞こえ、直後に車が猛スピードで走っていく音が聞こえた。すぐに外が騒がしくなり、女性の悲鳴や叫び声が聞こえる。
「外で何かあったみたいだ、行ってみよう」
雄治と店長が慌てて外に飛び出してみると、店からわずか10メートルほどの所で女性が血まみれになって倒れているのが見えた。まさかと思って雄治が走り寄ると、女性が頭から血を流して倒れている、川上だ。
「川上さん、川上さん・・・しっかりして、しっかりするんだ!」
すでに呼びかけに反応しない、誰かが通報したのか救急車とパトカーが現場に到着し、川上は急いで救急車に乗せられると、雄治は付き添いとして救急車に乗り込んだ。




